廂髮ひさしがみ)” の例文
新字:廂髪
これがまただいのおめかしとて、當世風たうせいふう廂髮ひさしがみ白粉おしろいをべた/\る。るもの、莫不辟易へきえきせざるなしあにそれ辟易へきえきせざらんとほつするもんや。
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「そんなことではない。別に嬉しいことがあるの、さ。」かの女は自分の廂髮ひさしがみの前髮に注意せよと云ふ樣子をする。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
三田も不似合なお兼の廂髮ひさしがみのうしろに、大き過る位大きい西班牙櫛スペインぐしのさゝつて居るのを、をかしいと思つて居たが、それが特別の意味のあるものとは知らなかつた。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
ひとはしるもの汽車きしやず、ぶものとりず、およぐものうをず、なるもの廂髮ひさしがみざるゆゑて、ちくらがをきとなすなかれ。
怪談会 序 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「このざまはどうだ!」かう、平生へいぜいと違はない態度で云つて、渠はかの女の大きな廂髮ひさしがみの上にたかつた灰を指のさきで輕く拂つてやつた。それからそのそばにあぐらをかいて、「どうだ御機嫌は?」
それあつければうめ、ぬるければたけきやくまつ揚場あがりばに、奧方おくがたはおさだまりの廂髮ひさしがみ大島おほしままがひのお羽織はおりで、旦那だんな藻脱もぬけかごそばに、小兒こども衣服きものあかうらを、ひざひるがへしてひかへてる。
銭湯 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わるくすると廂髮ひさしがみにでもしようといふ——
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)