たし)” の例文
かなふまじき由申し聞け候所、一度ひとたびは泣く泣く帰宅致し候へども、翌八日、ふたたび私宅へ参り、「一生の恩に着申す可く候へば、何卒なにとぞ御検脈下されたし
尾形了斎覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
以て八山やつやまなる旅館へ申遣しけるおもぶきは此度天一坊樣御下向ごげかうついては重役の者一とう相伺あひうかゞひ申たきこそ有ば明日五ツどき伊豆守御役宅へ御出あらせられたしとの口上こうじやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
伯母おば高慢こうまんがほはつく/″\とやなれども、あの高慢こうまんにあの温順すなほなるにてことなくつかへんとする氣苦勞きぐろうおもひやれば、せめてはそばちかくにこゝろぞへをもし、なぐさめにもりてやりたし
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かうぶり母の看病仕かんびやうつかまつりたしと涙ながらに申けるを大岡殿聞れ汝が申でう道理もつともには聞ゆれどもまた胡亂うろんなる處ありわけ其方そのはう遙々はる/″\利兵衞をたのみに思ひて來りしにかれ約束やくそく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
討取うちとり幸之進殿に手向たむけまゐらせたし一ツには行末ゆくすゑながき浪人の身の上母公の養育にもさしつかへるは眼前がんぜんなり且敵を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)