幼稚園ようちえん)” の例文
どちらかといえば、ぼくは、内弁慶うちべんけいで、そとでは弱虫よわむしというのでしょう。幼稚園ようちえんへも、なかなか一人ひとりではいけなかったのでした。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
もし一度でもあったとすれば、それはまだ辰子の幼稚園ようちえんへ通っていた時代のことだけだった。彼女はこう言う妹のキスに驚きよりもむしろはずかしさを感じた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
って、一頃ひところはよく彼女かのじょのところへあそびにかよって近所きんじょ小娘こむすめもある。光子みつこさんといって、幼稚園ようちえんへでもあがろうという年頃としごろ小娘こむすめのように、ひたいのところへかみりさげているだ。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いもを売ったり、玉子の仲買いをしたり、川魚を売ったりして、少しずつ新円を貯めていたのであろう、子供が幼稚園ようちえんにさげてゆく弁当入れのバスケットに、まだ五六百円の新円がはいっていた。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
ぼくは、いくたびも、幼稚園ようちえんの、ちいさな校舎こうしゃさくらをふりかえりながら、ほそみちあるいて、いつしかそこをとおざかりました。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、その翌日よくじつから、ぼくは、いったとおり、だれにも、おくってもらわず、一人ひとり幼稚園ようちえんへいき、また一人ひとりかえりました。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
同時どうじに、こころは、昼間ひるま慰問いもんにきてくれた、幼稚園ようちえん生徒せいとらのまじじりけのない姿すがたをよみがえらせました。そして、あののぱっちりした少女しょうじょ
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まあちゃんは、ひとり幼稚園ようちえんからのかえりに、じっとちどまって、金魚きんぎょがあさいみずおよいでいるのをながめたのです。
秋のお約束 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日よくじつ午後ごごでありました。先生せんせいきつれられて、おんなおおい、幼稚園ようちえん生徒せいとたちは、ぞろぞろとまちなかあるいていました。病院びょういんへの途中とちゅうであります。
少女と老兵士 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かあさんにつれられて幼稚園ようちえんへまいります途中とちゅう、ふとあたまうえをあおぎますと、うす緑色みどりいろのやわらかなこまかなが、いっぱいけやきのえだからて、おもしろそうにわらっていました。
秋のお約束 (新字新仮名) / 小川未明(著)