山村やまむら)” の例文
山村やまむらは陰気くさいよつて、何か、ぱつとした東京風の派手な踊が見たい/\言ははりますさかいな。つまりわてらはお客さん次第だんがな。」
高円山たかまどやまの墓原も、佐紀の沼地・雑木原も、又は、南は山村やまむら、北は奈良山、泉川の見える処まで馳せ廻って、戻る者も戻る者も、皆空足からあしを踏んで来た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
其後そのごものごとにねんれて、ひに麁想そそうをせぬやうにりぬ、世間せけん下女げぢよつかふひとおほけれど、山村やまむらほど下女げぢよかはいゑるまじ、つき二人ふたり平常つねこと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
大和国添上そふのかみ山村やまむら(今の帯解町辺)に行幸(元正天皇)あらせられた時、諸王臣に和歌を賦して奏すべしと仰せられた。その時御みずから作りたもうた御製である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
往来は稀な山村やまむらで、名におう上野国こうずけのくに東口の追貝村、頃は寛延元年八月の二日、山曇りと云うので、今まで晴天でいたのが暗くなって、霧が顔へかゝりました、暗さは暗し
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
少年探偵団員の川瀬かわせ山村やまむらの二少年が、世田谷区のある町を歩いていました。ふたりとも小学校の六年生ですが、今日は日曜日なので、世田谷のお友だちをたずねた帰り道なのです。
魔法博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのは物ごとに念を入れて、ひに麁想そさうをせぬやうに成りぬ、世間に下女つかふ人も多けれど、山村やまむらほど下女の替る家は有るまじ、月に二人は平常つねの事
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
春日山の奥へ入つたものは、伊賀境までも踏み込んだ。高円山の墓原も佐紀山の雑木原も、又は、南は山村やまむら、北は奈良山。馳せ廻つて還る者も/\、皆から足を踏んで来た。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
此後このご東京とうけうひろしといへども、山村やまむら下女げぢよものはあるまじ、感心かんしんなもの、美事みごとこゝろがけとめるもあれば、だい容貌きりやうが申ぶんなしだと、をとこきにこれをひけり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
石之助いしのすけとて山村やまむら總領そうりやう息子むすこはゝちがふに父親てゝおやあいうすく、これを養子やうしいだして家督あと妹娘いもとむすめなかにとの相談さうだん、十ねんむかしよりみゝはさみて面白おもしろからず、いま勘當かんだうのならぬこそをかしけれ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)