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小當
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こあた
が、はずんで
下りて
一淀みして
𢌞る
處から、
少し
勢が
鈍くなる。
知らずや、
仲町で
車夫が、
小當りに
當るのである。「
澄まねえがね、
旦那。」
甚しきは
楫を
留める。
尤も
其までにも、
小當りに
當ることは、
板屋を
走る
團栗に
異ならずで、
蜘蛛の
巣の
如く
袖褄を
引いて
居たのを、
柳に
風と
受けつ
流しつ、
擦拔ける
身も
痩せて
居た
處、
義理ある
弟、
内氣の
女。
三番叟の
吸もので、
熱燗と
洒落のめすと、
罰は
覿面、
反返つた
可恐しさに、
恆規に
從ひ
一夜不眠の
立待して、お
詫を
申す
處へ、
宵に
小當りに
當つて
置いた、
仇な
年増がからかひに
來る
條である。