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密雲
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みつうん
ふりがな文庫
“
密雲
(
みつうん
)” の例文
漸
(
よう
)
やく村はずれに来た頃は、もういつの間にか見えなくなって、恨めしそうに、ふり仰ぐ空は、おなじ灰色の
密雲
(
みつうん
)
である。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
暗灰色の
密雲
(
みつうん
)
は、みっしりと空を
罩
(
こ
)
め、
褪色
(
たいしょく
)
した水彩画のようなあたりには「豊さ」というものは寸分も見出せなかった。
自殺
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
今
(
いま
)
はそれさへ
天涯
(
でんがい
)
の
彼方
(
かなた
)
に
落
(
お
)
ちて、
見渡
(
みわた
)
す
限
(
かぎ
)
り
黒暗々
(
こくあん/\
)
たる
海
(
うみ
)
の
面
(
おも
)
、たゞ
密雲
(
みつうん
)
の
絶間
(
たへま
)
を
洩
(
も
)
れたる
星
(
ほし
)
の
光
(
ひかり
)
の一二
點
(
てん
)
が
覺束
(
おぼつか
)
なくも
浪
(
なみ
)
に
反射
(
はんしや
)
して
居
(
を
)
るのみである。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その春、私が連れて行かれたその
狂院
(
きょういん
)
に咲き満ちて
居
(
い
)
た桜の花のおびただしさ、海か
密雲
(
みつうん
)
に対するように始め私は
茫漠
(
ぼうばく
)
として美感にうたれて居るだけでした。
病房にたわむ花
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
翌朝の新聞紙に『大演習の犠牲。青軍の戦闘機二機、空中衝突して太平洋上に墜つ。乗組の竹花、熊内両中尉の死体も
機影
(
きえい
)
も共に発見せられず。原因は
密雲
(
みつうん
)
のためか……』
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
星の光が海底の真珠のように三つ四つ二つ
燦
(
きら
)
めいていたので、やれ安心と思う間もなく
密雲
(
みつうん
)
忽ち天を閉じて、幽霊のような白い霧が時々すうと小屋の中まで這入って来る。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
プロペラは音ひびかへれいつ知らず
密雲
(
みつうん
)
の中に入りて
暫
(
しば
)
あり
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
大空は濃く澄み渡って半点の隈もない、ただ見下ろすトゥーンからベルンの台地には湖のように
密雲
(
みつうん
)
が閉じている。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
西に
傾
(
かたむ
)
いた太陽は、
密雲
(
みつうん
)
の蔭にスッカリ隠れてしまったり、そうかと思うと急にその切れ目から顔を現わして、真赤な光線を、
機翼
(
きよく
)
に叩きつけるのだった。丁度、そのときだった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殊
(
こと
)
に
今宵
(
こよひ
)
は
密雲
(
みつうん
)
厚
(
あつ
)
く
天
(
てん
)
を
蔽
(
おほ
)
ひ、四
邊
(
へん
)
の
空氣
(
くうき
)
は
變
(
へん
)
に
重々
(
おも/\
)
しく、
丁度
(
ちやうど
)
釜中
(
ふちう
)
にあつて
蒸
(
む
)
されるやうに
感
(
かん
)
じたので、
此儘
(
このまゝ
)
船室
(
ケビン
)
に
歸
(
かへ
)
つたとて、
迚
(
とて
)
も
安眠
(
あんみん
)
は
出來
(
でき
)
まいと
考
(
かんが
)
へたので、
喫煙室
(
スモーキングルーム
)
に
行
(
ゆ
)
かんか、
其處
(
そこ
)
も
暑
(
あつ
)
し
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ベッドに近い窓からは、ハルデルの絶壁が、青葉の梢にのしかかって、今日は尾根は
密雲
(
みつうん
)
に深く
鎖
(
とざ
)
されておる。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
そして三十分程ちらりちらりと月の顔を見ることが出来たと思うと、あとは又元のように
密雲
(
みつうん
)
に蔽われてしまう筈である。月が顔を出している三十分の間に私は仕事をやらねばならない。
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
密
常用漢字
小6
部首:⼧
11画
雲
常用漢字
小2
部首:⾬
12画
“密”で始まる語句
密
密々
密夫
密着
密告
密偵
密通
密林
密接
密貿易