守護まもり)” の例文
それらをさちなき柴木のもとにあつめよ、我は最初はじめ守護まもりの神をバーティスタに變へしまちの者なりき、かれこれがために 一四二—一四四
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
を用ふ、其背に於て帯をおさふる処に綿を入れ、守護まもりを入れなどす。縮緬類をくけたるなり。また唯しごきたるもありといふ。
当世女装一斑 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「もしまた無礼の振る舞い致さば、この市之丞が生命に懸けて、きっとお守護まもり致しますれば、それはご安心遊ばしませ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
妾は妾の手にかけた少年たちの爪を取り集めて、向うの机の抽斗ひきだしに仕舞しまっといたのよ。西洋の貴婦人たちが媾曳あいびきの時のお守護まもりにするそうですからね。
けむりを吐かぬ煙突 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
中を開けて見ると、身代りのお守護まもりや、古ぼけたへそ緒書をがきと一緒に、新しい半紙へ細字でベツトリ書いて、細かく疊んだものが一つ入つて居るのです。
なんぢ此度このたび使命しめい成敗せいばいは、海底戰鬪艇かいていせんとうていが、日本帝國につぽんていこく守護まもりとして、現出げんしゆつすること出來できるか、いなかのわかであるぞ。きはめて機敏きびんに、きはめて愼重しんちようなれ。
これさへ昨日黒衣めが、和殿を打ちしと聞き給ひ、喜ぶことななめならず、たちま守護まもりを解かしめつ。今宵は黄金丸を亡き者にせしいわいなりとて、さかんに酒宴を張らせたまひ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「かたじけないと云うてくれよ。麦菓子も早速食べよう、守護まもり札も肌につけていくさに出よう」
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
守護まもり給ふ物成らんと又妹お富も長庵にあざむかれて此丁字屋へうられ來しかば姉妹はらから手と手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「護摩堂の守護まもりとして、長くあの前へ飾りおくことに決めたぞ、作阿弥」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
守護まもりの神はたゝへて曰く
ネルソン伝に序す (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
してみれば、この茄子は、災難よけのお守護まもりだ、と細かに刻んで、家中うちじゅう持っておりましたとこもござります。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
また、このお守護まもりは、関の観音へ、御武運を祈って、これも私が母を負うて、七日の参籠をしていただいて参りましたもの。殿様へ上げてくれいと、母から申されて参りました。
大谷刑部 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのほとりには黒衣めが、興に乗じて躍りゐしのみ、余の獣們は腹を満たして、各自おのおの棲居すみかに帰りしかば、洞には絶えて守護まもりなし。これより彼処かしこへ向ひたまはば、かの間道よりのぼりたまへ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
で彼等の守護まもり本尊は、イスカリオテのユダなんですね。本尊を贋金で作っては、どうもちょっと勿体ない、こういう意味からそれだけを、非常に高価な白金で、作ったのだということです。
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
守護まもりのように、ちゃんと斜めにかけているのを、旅客はまたこの時たのである。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おおおお大将何を云うんだ、何んの村ばかりの浜路さんなものか、御岳一円の浜路さんだ。薬草道人と浜路さん、これが御岳の守護まもり本尊さ。それ本尊はあらたかのもの、汚してはいけない拝め拝め」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
月も照さず花もい来ず、眼に見る物は恐ろしきくろがねの壁ばかりにて、日に新しゅうなるものは、苛責かしゃくの品の替るのみ、苦痛いうべくもあらざれど、家に伝わる財産も、我身の操も固く守護まもり
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)