宇都宮うつのみや)” の例文
熊谷直実くまがいなおざね蓮生れんしょうをはじめ、甘糟あまかす太郎忠綱、宇都宮うつのみや頼綱、上野こうずけ御家人ごけにん小四郎隆義、武蔵の住人弥太郎親盛やたろうちかもり、園田成家なりいえ、津戸三郎為盛ためもり
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私と後藤氏とは上野発の汽車で出掛けたが、汽車を乗り違えたため宇都宮うつのみやに一泊し、翌早朝鹿沼で下車し、それから発光路へ向いました。
宇都宮うつのみやの町に挽物ひきもの師が、形のよい漏斗じょうご手轆轤てろくろにかけているのを見ました。売る先は静岡県の酒屋だということでありました。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
良人は宇都宮うつのみやからだんだん函館はこだてまでまいり、父は行くえがわからなくなり、弟は上野で討死うちじにをいたして、その家族も失踪なくなってしまいますし、舅もとうとう病死をしましてね
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
文久二年正月の坂下門さかしたもん事件(それと関連せる輪王りんのう寺擁立挙兵策・一橋擁立挙兵策など)に連座・獄死した下野しもつけ義徒の中心には、宇都宮うつのみやの呉服商菊池教中きくちのりなか、大橋訥庵兄弟がおり
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)
彼が家の夜具よるのものは、宇都宮うつのみや釣天井つりてんじょう程に重く大きなものだ。彼が家の婆さんは、七十過ぎて元気おさ/\若者をしのぐ婆さんである。婆さんの曰く、わたしうちは信心なんざしませんや。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
四五日つづいてけぶるような雨の降ったあと、にわかに空が澄みあがって、松林をわたる風もやや肌寒く感じられる一日、下野しもつけ宇都宮うつのみやから音信があって三郎兵衛の病臥びょうがを知らせて来た。
日本婦道記:不断草 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
芝茸しばたけとなへて、かさ薄樺うすかばに、裏白うらじろなる、ちひさなきのこの、やまちかたにあさきあたりにも群生ぐんせいして、子供こどもにも就中なかんづくこれが容易たやすものなるべし。どくなし。あぢもまたし。宇都宮うつのみやにてこのきのこくほどあり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
源氏重代の家来たち、和田・三浦・畠山はたけやま比企ひき朝比奈あさひな宇都宮うつのみやなどの諸豪族は北条氏に対する反感を深くしているのに乗じ、種々策謀して、次々に叛旗をひるがえさせては次第にこれを滅して行った。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
實は、初めてのことで、而も急行は宇都宮うつのみやより先きは黒磯でなければとまらぬやうに旅行案内には出てゐたので、正直に黒磯までの切符を買つたのだが、車上で人に教へられて西那須へ下りたのだ。
塩原日記 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
かえって田舎には豪農や豪商があるのだからと申しまして、私も東京に居りまして知る人に顔を見られるも、恥かしゅう存じますから、そんなら田舎の奉公をしようと申しまして、宇都宮うつのみやへ参りますと
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
早くも宇都宮うつのみやに着き、やがて日光驛に着いた。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
宇都宮うつのみやから益子に、また鹿沼かぬまや日光に行くごとに度々私の心をいた建物を見た。長屋門ながやもんの美しさもその一つだが、私にはことのほかその地方の民家で用いる石屋根が美しく想えた。
野州の石屋根 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
宇都宮うつのみやいてさへ、ふねつた心地こゝちがした。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)