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姫樣
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ひめさま
廓ことばを
町にいふまで
去りとは
耻かしからず
思へるも
哀なり、
年はやう/\
數への十四、
人形抱いて
頬ずりする
心は
御華族のお
姫樣とて
變りなけれど、
修身の
講義
玉の
姫樣御出生と
聞きも
敢へず、
散るや
櫻の
我が
名空しく
成ぬるを、
何處に
知りてか
六三天地に
哭きて、
姫が
命は
我れ
故と
計、
短かき
契りに
淺ましき
宿世を
思へば、
一人殘りて
我れ
何とせん
是より
以後の
一生五十
年姫樣には
指もさすまじく、
况て
口外夢さら
致すまじけれど、
金ゆゑ
閉ぢる
口には
非ず、
此金ばかりはと
恐れげもなく、
突もどして
扨つくづくと
詫びけるが、
歸邸その
儘の
暇乞