“女中(ねえ)” の例文
「女中(ねえ)や、お手柔(てやはら)かに頼(たの)むぜ。」と先生(せんせい)の言葉(ことば)の下(した)に、ゑみわれたやうな顏(かほ)をして、「惚(ほ)れた證據(しようこ)だわよ。」やや、と皆(みな)が顏(かほ)を見(み)る。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「ええ、誰れもいませんの。ボクひとり。……ママは女中(ねえ)やを置くのきらいなんです」
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
皆(みな)さんは、御存(ごぞん)じであらうか……此品(このしな)を。……あなた方(がた)が、女中(ねえ)さんに御祝儀(ごしうぎ)を出(だ)してめしあがる場所(ばしよ)などには、決(けつ)してあるものではない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「ひとり、って、女中(ねえ)やさんもいないの?」
キャラコさん:08 月光曲 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「失礼をするかも知れないが、まあ、一杯(ひとつ)。ああ、——ちょうどお銚子が来た。女中(ねえ)さん、お酌をしてあげて下さい。」
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
面疱(にきび)だらけの女中(ねえ)さんが燐寸(マツチ)を摺(す)つて點(つ)けて、插(さし)ぼやをさすと、フツと消(け)したばかり、まだ火(ひ)のついたまゝの燃(もえ)さしを、ポンと斜(はす)つかひに投(な)げた——
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
この岡惚れの対象となって、江戸育ちだというから、海津か卵であろう、築地辺の川端で迷惑をするのがお誓さんで——実は梅水という牛屋の女中(ねえ)さん。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだ積(つ)んだまゝの雜具(ざふぐ)を繪屏風(ゑびやうぶ)で劃(しき)つてある、さあお一杯(ひとつ)は女中(ねえ)さんで、羅綾(らりよう)の袂(たもと)なんぞは素(もと)よりない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「女中(ねえ)さんかい、その水を流すのは。」閉めたばかりの水道の栓(せん)を、女中が立ちながら一つずつ開けるのを視(み)て、たまらず詰(なじ)るように言ったが、ついでにこの仔細(しさい)も分かった。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
峠路(とうげじ)で売っていた、猿(さる)の腹ごもり、大蛇(おろち)の肝、獣の皮というのはこれだ、と滑稽(おどけ)た殿様になって件(くだん)の熊の皮に着座に及ぶと、すぐに台十能(だいじゅう)へ火を入れて女中(ねえ)さんが上がって来て
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
夜食(やしよく)の膳(ぜん)で「あゝあ、何(なん)だい此(こ)れは?」給仕(きふじ)に居(ゐ)てくれた島田髷(しまだまげ)の女中(ねえ)さんが、「鯰(なまづ)ですの。」鯰(なまづ)の魚軒(さしみ)、冷(つめ)たい綿屑(わたくづ)を頬張(ほゝば)つた。勿論(もちろん)、宿錢(やどせん)は廉(やす)い。いや、羹(あつもの)も食(く)はず、鯰(なまづ)を吐(は)いた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「女中(ねえ)さんは。」
第二菎蒻本 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)