-
トップ
>
-
坐蒲團
>
-
ざぶとん
少し
時間が
遲れたので、
寄席は
一杯であつた。
二人は
坐蒲團を
敷く
餘地もない
一番後の
方に、
立膝をする
樣に
割り
込まして
貰つた。
宅では
御米が
宗助に
着せる
春の
羽織を
漸く
縫ひ
上げて、
壓の
代りに
坐蒲團の
下へ
入れて、
自分で
其上へ
坐つてゐる
所であつた。
其所へ
最前の
仲働が、
奧から
茶や
莨を
運んで
來たので、
宗助は
又歸りはぐれた。
主人はわざ/\
坐蒲團迄取り
寄せて、とう/\
其上へ
宗助の
尻を
据ゑさした。