商賈しやうこ)” の例文
原註。「イル、カワリエル、セルヱンテ」又「チチスベオ」、今侍奉紳士とほんす。此俗とジエノワ府商賈しやうこより出づ。
外交の事漸くしよに就くに至れり、各国の商賈しやうこは各開港塲に来りて珍奇実用の器物をひさげり、チヨンマゲは頑固といふ新熟語の愚弄ぐろうするところとなれり
これが岡崎の殷富を致した基だと云ふ。忠茂の血と倶に忠茂の経済思想を承けた忠行が、曾て引水の策を献じ、つひ商賈しやうことなつたのは、つて来る所があると謂つて好からう。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
もつともいとけなしといへども、のちおのづから設得まうけえんと。はたせるかなひととなりて荊州けいしう刺史ししとなるや、ひそか海船かいせんあやつり、うみ商賈しやうこ財寶ざいはう追剥おひはぎして、とみいたすことさんなし。のち衞尉ゑいゐはいす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
長を山崎某と云ひ、仲を鈴木某と云つて、師岡氏はそのであつた。三人は同腹の子で、皆伯父をぢに御家人の株を買つて貰つた。それは商賈しやうこであつた伯父の産業の衰へた日の事であつた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
驛路えきろうますゞおと、しやんと道筋みちすぢながら、時世ときよといひ、大晦日おほみそか道中だうちうひつそりとして、兩側りやうがはひさしならぶる商賈しやうこいへまきそろへて根占ねじめにしたる、門松かどまつつらねて、としかみおくるといふ
城の石垣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)