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咳払
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せきばらい
ふりがな文庫
“
咳払
(
せきばらい
)” の例文
旧字:
咳拂
そのとき兄は、大きな
咳払
(
せきばらい
)
と共に、重い扉を押して室内に入って来ました。勝見は白々しく敬礼を捧げましたが、再び嫂の方に向い
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
寒月君は返事をする前にまず
鷹揚
(
おうよう
)
な
咳払
(
せきばらい
)
を一つして見せたが、それからわざと落ちついた低い声で、こんな観察を述べられた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「さとからじゃ、ははん。」と、ぽんと鼻を鳴らすような
咳払
(
せきばらい
)
をする。
此奴
(
こいつ
)
が取澄ましていかにも高慢で、且つ
翁寂
(
おきなさ
)
びる。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
翌朝純一は十分に眠った健康な体の
好
(
い
)
い心持で目を
醒
(
さ
)
ました。只
咽
(
のど
)
に
痰
(
たん
)
が詰まっているようなので
咳払
(
せきばらい
)
を二つ
三
(
みつ
)
して見て風を引いたかなと思った。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
トウトウ大変な事になって了った。富田さんは委細頓着なく、エヘンと気取った
咳払
(
せきばらい
)
をして、早速読みにかかった。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
「きりょう自慢の若い同士には、男にわからない怨みがありますよ。身体がさわっても、変な眼で見ても、
咳払
(
せきばらい
)
をしただけでも、喧嘩の種に困りやしない」
銭形平次捕物控:242 腰抜け彌八
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
かくてその夜は十時頃まで富岡老人の居間は折々
談声
(
はなしごえ
)
が聞え折々
寂
(
しん
)
と静まり。又折々老人の
咳払
(
せきばらい
)
が聞えた。
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
また引つ返して格子前に来り「えへん/\/\」と
咳払
(
せきばらい
)
し、どんどんと足踏し、さて戸をがらりとあく。
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
物
(
もの
)
が
食
(
た
)
べたくなった
時
(
とき
)
には、
何時
(
いつ
)
も
躊躇
(
ちゅうちょ
)
しながら
咳払
(
せきばらい
)
して、そうして
下女
(
げじょ
)
に、
茶
(
ちゃ
)
でも
呑
(
の
)
みたいものだとか、
飯
(
めし
)
にしたいものだとか
云
(
い
)
うのが
常
(
つね
)
である、それ
故
(
ゆえ
)
に
会計係
(
かいけいがかり
)
に
向
(
むか
)
っても
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
眼に軽侮の色を浮べて、せわしく
咳払
(
せきばらい
)
をしはじめた、春日はそんなことに頓着せず押入の隅から、火気のない火鉢を障子の際まで持出し、頻りに灰を掻廻し何やら紙を出して包んだ
誘拐者
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
僕が
咳払
(
せきばらい
)
を一ツやって庭場へ這入ると、台所の話はにわかに止んでしまった。民子は指の先で僕の肩を
撞
(
つ
)
いた。僕も承知しているのだ、今御膳会議で二人の噂が
如何
(
いか
)
に盛んであったか。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
と言いかけて、
暫時
(
しばらく
)
三吉は聞耳を立てた。
階下
(
した
)
では老人の
咳払
(
せきばらい
)
が聞える。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
と
唸
(
うな
)
りながら、喜んでいると、エヘンと云う人間の
咳払
(
せきばらい
)
が聞えた。こいつは驚いた。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
故郷
(
ふるさと
)
なる、何を見るやら、
向
(
むき
)
は違っても一つ一つ、首を据えて目を
睜
(
みは
)
る。が、人も、もの言わず、
活
(
いき
)
ものがこれだけ居て余りの静かさ。どれかが
幽
(
かすか
)
に、えへん、と
咳払
(
せきばらい
)
をしそうで
寂
(
さみ
)
しい。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
汐焼した顔は、
赤銅色
(
しゃくどういろ
)
だ。彼は歩きながら、エヘンと
咳払
(
せきばらい
)
をした。
浮かぶ飛行島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「えへん!」と屋鳴りのするような
咳払
(
せきばらい
)
を響かせた、便所の
裡
(
なか
)
で。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
隣の
薩摩絣
(
さつまがすり
)
はえへんと
嘲弄的
(
ちょうろうてき
)
な
咳払
(
せきばらい
)
をする。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
咳
漢検準1級
部首:⼝
9画
払
常用漢字
中学
部首:⼿
5画
“咳”で始まる語句
咳
咳嗽
咳声
咳入
咳拂
咳枯
咳唾
咳嗄
咳一咳
咳込