うらな)” の例文
七月七日の酉の刻に地震有りて、富士の絶頂崩ること数百丈なり、卜部宿禰うらべのすくね大亀を焼いてうらなひ、陰陽博士占文を開いて見るに、国王位を
日本天変地異記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「俺は今日浅草の観音様へ行ったのさ。思い切りお賽銭さいせんをあげて、半日拝んだ揚句、この縁談をうらなうつもりで御神籤おみくじいた——」
秀継は、赤面したが、なお何とかして、利家を思い止まらせようと試みてか、わざと、うらない上手じょうずをよんで、出陣の吉凶をうらなわせた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは私もK坂の夜店に加わって、手相うらないの店を張ろうというのだった。そして腰をどっしりと落付けて、かの両人の見張を行おうとするのだった。
大脳手術 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ここまでお話ししたのでございますから、これから私の女難の二つ三つを懺悔ざんげいたしましょう。売卜者はうまく私の行く末をうらない当てたのでございます。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
モメて仕様が無い。ホラ、あの話ねえ——段々うらなってみると、盗人が出て来ましたぜ。可恐おそろしいもんだねえ
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
后まずふところより兎を出しその動作を見て必勝とうらない定め臣下皆そのつもりで勇み立ちてたちまちローマ方七万人を鏖殺おうさつしたがついに兵敗れて後は自ら毒を仰いで死んだ。
その人々の家族が安否を心配して自分にうらなってもらいに来たものが沢山あったからだとのこと。
地震なまず (新字新仮名) / 武者金吉(著)
(この心が常に、如何なる場合でも彼の誠実を多少づつ裏切るやうな事が多かつた)さて、彼はこの花の木で自分をうらなうて見たいやうな気持があつた——「薔薇ならば花開かん」!
沢井様の草刈に頼まれて朝はやくからあちらへ上って働いておりますと、五百円のありかをうらなうのだといって、仁右衛門爺さんが、八時頃に遣って来て、お金子かねが紛失したというお居室いまへ入って
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あの太鼓とタンバリンに勝とうとすると、いい加減声が潰れてしまう——おや! 卓さんは? あの人を引っ張って行ってうらないの夜店を出させると、うまく往きゃあ煙草銭ぐらいにはなるんだがな。
「俺は今月淺草の觀音樣へ行つたのさ。思ひ切りお賽錢さいせんをあげて、半日拜んだ揚句、この縁談をうらなふつもりで御神籤おみくじいた——」
もし誰か、燈火占とうかうらないをなすものがいて、この夜の灯に対していたら、すでに何かの凶兆きょうちょうが、夜霧のかさ丁子ちょうじの明暗にも、うらなわれていたかも知れない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
古い洋傘こうもり毛繻子けじゅすの今は炬燵掛と化けたのを叩いて、隠居は掻口説かきくどいた。この人の老後の楽みは、三世相さんぜそうに基づいて、隣近所の農夫等が吉凶をうらなうことであった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その証拠は『説苑ぜいえん』十二に秦と楚といくさせんとした時、秦王人を楚につかわす、楚王人をしてこれになんじ来る前にうらないしかと問わしむると、いかにも卜うたが吉とあったと答えた。
ゆえに、朕は意を決し、呉をつため、これまで進発して来た途中であるが、前途の吉凶いかがあろうか。忌憚きたんなく、仙翁のうらなう旨を聞かせてもらいたい
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「縁談のうらないはしおらしいでしょう。親分、あんな事を言うくせに、お染に未練があるんだね」
豊世はまだ聞いて貰いたいという風で、ある時自分の一生をうらなって貰ったことがあった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いま玄徳に向って成都の大軍をうごかすにあたり、勝か敗かひとつうらなわせてみるのも無駄ではあるまい。易によって、また大利を得るかもしれん。どうだろう諸公
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「縁談のうらなひはしをらしいでせう。親分、あんな事を言ふくせに、お染に未練があるんだね」
それ鳥のうらなひて
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
うらなわせようというわけではない。この一戦こそ蜀の運命を左右するものだから、万全を期して、凶を招くようなことは、少しでも踏むまいと念ずるからだ。これも国を
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「今申し上げた牛飼の女のことが、太守に聞えたので、管輅を召し、山鶏の毛と、印章のふくろを、べつべつなはこにかくしてうらなわせてみたところ、寸分たがわず、あてたと申しまする」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「わが生涯の門立ちを決する日は、いつが吉日か、謹んでうらないを立てよ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朱雋は、陣頭に立って、賊の宛城の運命を、かくうらなった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
うらない」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)