てがら)” の例文
説いて、信長の軍門に降らせたら、それは師父の大きなてがらだ。布教の自由と教会を持つことは、信長の名をもって、ゆるしてつかわす
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何じゃ騒しいな。ふ、ふ、あ、あ、それは結構。何さ、しかし心配には及ばぬよ。殺されたものは損、照子殿はえらてがらじゃ、妖物ばけもの
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのお饒舌のてがらでゝ連れられて行つてやつたら角から二軒目の宿屋へ案内した。二階の障子を明け離してごゞ島の翠色みどりが延ばす手に染みつきそうな海を眺めながら七十五銭の昼飯を食つた。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
「その気持はうれしいが、余り、てがらはやっておくれでない。たとえそなたが、どれほど出世しようと、わしの欣びは、これ以上はない」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
道理だうりこそ、出入でいりをひとかくしてかたちせぬと、一晩あるばんさんが注進顏ちうしんがほで、てがららしくつたことおぼえてる。……
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かわきにまかせて、飲みすぎるな。日盛りともなれば、頭から照りつけるぞ。よいてがらを持たぬうち、汗塩をかき過ぎていたずらにつかれるなよ」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪事は虎の千里走る、い事は、花の香ほども外へは漏れぬ言うけれど、貴女あんた二人は孝行の徳、恋のてがら、恩愛のむくいだすせ。誰も知るまい、私一人、よう知った。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうだ、たとえここを守り通しても、いずれ関羽が帰れば、戦前の罪を問われ、罪とてがらが棒引きになるぐらいが上の部だ。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くて幸豐君ゆきとよぎみもくげて、一國いつこく老職らうしよくとなさむとおもはれけるが、もとより亂世らんせいにあらざれば、取立とりたててこれぞといふてがらかれきものを、みだりにおももちゐむは、偏頗へんぱあるやうにて後暗うしろめた
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鳥取城や上月城こうづきじょうで、てがらをあらわしたことも聞えている。将来ある若武者、よい骨がらである。などと多少おだて気味な声も当人の耳にはいっている。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以来、機をうかがっては、出撃を敢行するたびに、諸将それぞれてがらた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人々に、その大きなてがらの程をたたえられて、奇蹟のように問われると
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
励みあって、まだ戦場に臨まぬうちから、名とてがらを競っていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)