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刷毛先
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はけさき
ふりがな文庫
“
刷毛先
(
はけさき
)” の例文
暖簾
(
のれん
)
の
下
(
した
)
にうずくまって、
髷
(
まげ
)
の
刷毛先
(
はけさき
)
を、ちょいと
指
(
ゆび
)
で
押
(
おさ
)
えたまま、ぺこりと
頭
(
あたま
)
をさげたのは、
女房
(
にょうぼう
)
のおこのではなくて、
男衆
(
おとこしゅう
)
の
新
(
しん
)
七だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
青い空の静まり返った、
上皮
(
うわかわ
)
に白い薄雲が
刷毛先
(
はけさき
)
でかき払ったあとのように、
筋
(
すじ
)
かいに長く浮いている。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
実際往来を一つ
隔
(
へだ
)
ててゐる掘割の明るい水の上から、時たま此処に流れて来るそよ風も、
微醺
(
びくん
)
を帯びた二人の男には、
刷毛先
(
はけさき
)
を少し左へ曲げた水髪の
鬢
(
びん
)
を吹かれる度に
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
唐桟
(
とうざん
)
を狭く着て、
水髪
(
みずがみ
)
の
刷毛先
(
はけさき
)
を左に曲げた、人並の風俗はしておりますが、長い鼻、
団栗眼
(
どんぐりまなこ
)
、間伸びのした
台詞
(
せりふ
)
、何となく
犢鼻褌
(
ふんどし
)
が嫌いといった人柄に見えるから不思議です。
銭形平次捕物控:022 名馬罪あり
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そこの芸者、いけねえよ、その
刷毛先
(
はけさき
)
をパラッと……こういう
塩梅式
(
あんべいしき
)
に、鬼門をよけてパラッと散らして……そうだ、そう行って
山王
(
さんのう
)
のお猿様が……と来なくっちゃ江戸前でねえ。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
丸味を帯びた細い眉、切長で涼しくて軟らか味のある眼、少し間延びをしているほど、長くて細くて高い鼻、ただし
鬘
(
まげ
)
だけは
刷毛先
(
はけさき
)
を散らし、豪勢
侠
(
いなせ
)
に作ってはいるが、それがちっとも似合わない。
前記天満焼
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
多助はおえいをつれて参り、見物させて帰ってくると、其の跡から続いて内へ入って来た男は、胴金造りの
長物
(
ながもの
)
をさし、
菅
(
すげ
)
の三度笠を手に下げ、
月代
(
さかやき
)
を生し、
刷毛先
(
はけさき
)
を
散
(
ちら
)
ばし、素足に草鞋を
穿
(
は
)
いて
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
青い空の静まり返つた、
上皮
(
うはかは
)
に、白い
薄雲
(
うすぐも
)
が
刷毛先
(
はけさき
)
で掻き払つた
痕
(
あと
)
の様に、
筋違
(
すぢかひ
)
に長く浮いてゐる。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
殆
(
ほと
)
んどひといきに、二三
日前
(
にちまえ
)
に
奉公
(
ほうこう
)
に
来
(
き
)
た八
歳
(
さい
)
の
政吉
(
まさきち
)
から、
番頭
(
ばんとう
)
の
幸兵衛
(
こうべえ
)
まで、やけ
半分
(
はんぶん
)
に
呼
(
よ
)
びながら、
中
(
なか
)
の
口
(
くち
)
からあたふたと
駆
(
か
)
け
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
た
徳太郎
(
とくたろう
)
は、
髷
(
まげ
)
の
刷毛先
(
はけさき
)
に
届
(
とど
)
く
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
髷の
刷毛先
(
はけさき
)
を直して、肩から裾の
埃
(
ほこり
)
を拂ふと、ガラツ八はもう歩き出して居りました。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
岡眼
(
おかめ
)
をしていた閑人以上の閑人が、今ふと薬屋の路地を入って行った女の姿を認めた時は、一局の勝負がついた時であったから、こんな場合には
髷
(
まげ
)
の
刷毛先
(
はけさき
)
の曲ったのまでが問題になる。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
十月の
素袷
(
すあわせ
)
、
平手
(
ひらて
)
で水っ
洟
(
ぱな
)
を
撫
(
な
)
で上げながら、突っかけ草履、前鼻緒がゆるんで、左の親指が少し
蝮
(
まむし
)
にはなっているものの、
十手
(
じって
)
を後ろ腰に、
刷毛先
(
はけさき
)
が
乾
(
いぬい
)
の方を向いて、とにもかくにも
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎は
刷毛先
(
はけさき
)
で格子を叩くやうに、明神下の平次の家へ飛び込んで來ました。
銭形平次捕物控:198 狼の牙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
頭の空っぽな美男によくある、
髷
(
まげ
)
の
刷毛先
(
はけさき
)
や、腹掛けの
皺
(
しわ
)
や、煙草入の金具ばかり気にするといった男。爺やの熊吉は、
馬糞茸
(
まぐそたけ
)
が化けて、仮に人間のヒネたのになったといった老人です。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頭の空つぽな美男によくある、髷の
刷毛先
(
はけさき
)
や、腹掛の皺や、煙草入の金具ばかり氣にすると言つた男。爺やの熊吉は、
馬糞茸
(
まぐそたけ
)
が化けて、假りに人間のヒネたのになつたと言つた老人です。
銭形平次捕物控:148 彦徳の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
十月の
素袷
(
すあはせ
)
、平手で水つ
洟
(
ぱな
)
を撫で上げ乍ら、突つかけ草履、前鼻緒がゆるんで、左の親指が少し
蝮
(
まむし
)
にはなつて居るものゝ、十手を後ろ腰に、
刷毛先
(
はけさき
)
が
乾
(
いぬゐ
)
の方を向いて、兎にも角にも、馬鹿な威勢です。
銭形平次捕物控:282 密室
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
刷
常用漢字
小4
部首:⼑
8画
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“刷毛”で始まる語句
刷毛
刷毛目
刷毛序
刷毛屋