トップ
>
切立
>
きったて
ふりがな文庫
“
切立
(
きったて
)” の例文
という処へ、
萌黄
(
もえぎ
)
裏の紺看板に二の字を抜いた、
切立
(
きったて
)
の
半被
(
はっぴ
)
、そればかりは威勢が
可
(
い
)
いが、かれこれ七十にもなろうという、
十筋右衛門
(
とすじうえもん
)
が
向顱巻
(
むこうはちまき
)
。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
緑の方は銅から取り
海鼠
(
なまこ
)
の方は鉄から取る青味の色をいいます。ここで出来る長方型の「
鰊鉢
(
にしんばち
)
」や、「
切立
(
きったて
)
」と呼ぶ
甕
(
かめ
)
の如きは、他の窯に例がありません。
手仕事の日本
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
さあ、お目通りで、着物を
引掉
(
ひっぷる
)
って
神田児
(
かんだッこ
)
の
膚合
(
はだあい
)
を見せてやらあ、汝が口説く
婦
(
おんな
)
じゃねえから、見たって目の
潰
(
つぶ
)
れる
憂慮
(
きづけえ
)
はねえ、安心して
切立
(
きったて
)
の
褌
(
ふんどし
)
を拝みゃあがれ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
窯はわずか一個よりないが、年に五、六回は焼くというから、相当地方的需要があることが分る。長型丸型の水甕、片口、
飯鉢
(
めしばち
)
、平鉢、
土
(
ど
)
だらい、
切立
(
きったて
)
等いう名は地方窯に
相応
(
ふさ
)
わしい。
現在の日本民窯
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
鞠
(
まり
)
がはずんで
潮
(
うしお
)
に取られ、羽根が外れて海に落つれば、
切立
(
きったて
)
のその崖を、するすると何の苦もなく、
蟹
(
かに
)
を捕え、貝を拾い、
斜
(
ななめ
)
に飛び、横に伝い、
飜然
(
ひらり
)
と
反
(
かえ
)
る身の軽さ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
そこで内証で涙を払うのかと偲うと、肩に
一揺
(
ひとゆす
)
り、ゆすぶりをくれるや否や、
切立
(
きったて
)
の崖の下は、
剣
(
つるぎ
)
を植えた
巌
(
いわ
)
の底へ、
真逆様
(
まっさかさま
)
。霧の海へ、薄ぐろく、影が残って消えません。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここは、
切立
(
きったて
)
というほどではないが、
巌組
(
いわぐ
)
みの
径
(
みち
)
が
嶮
(
けわ
)
しく、砕いた
薬研
(
やげん
)
の底を
上
(
あが
)
る、
涸
(
か
)
れた滝の
痕
(
あと
)
に似て、草土手の小高い処で、
纍々
(
るいるい
)
と墓が並び、傾き、また倒れたのがある。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
使
(
つかい
)
のついでに、明神の石坂、開化楼裏の、あの
切立
(
きったて
)
の段を下りた宮本町の横小路に、
相馬
(
そうま
)
煎餅
(
せんべい
)
——塩煎餅の、焼方の、
醤油
(
したじ
)
の
斑
(
ふ
)
に、何となく
轡
(
くつわ
)
の形の浮出して見える名物がある。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
社
(
やしろ
)
の境内なる足許に、
切立
(
きったて
)
の石段は、
疾
(
はや
)
くその
舷
(
ふなばた
)
に昇る
梯子
(
はしご
)
かとばかり、
遠近
(
おちこち
)
の
法規
(
おきて
)
が乱れて、赤沼の三郎が、角の室という八畳の縁近に、
鬢
(
びん
)
の
房
(
ふっさ
)
りした束髪と、薄手な年増の
円髷
(
まるまげ
)
と
貝の穴に河童の居る事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「へい、ですかい屑屋ですかい。お待ちなせえ、待ちねえよ、こう
旨
(
うめ
)
えことを
考
(
かんげ
)
えた。一番、こう、
褌
(
ふんどし
)
ゃ
切立
(
きったて
)
だから、恥は掻かねえ、
素裸
(
すっぱだか
)
になって、二階へ上って、こいつを脱いで、」
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庭の正面がすぐに
切立
(
きったて
)
の崖で、ありのままの雑木林に萩つつじの株、もみじを交ぜて、片隅なる山笹の中を、細く
蜿
(
うね
)
り蜿り自然の
大巌
(
おおいわ
)
を削った
径
(
こみち
)
が通じて、高く
梢
(
こずえ
)
を
上
(
あが
)
った処に、建出しの二階、三階。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
立
常用漢字
小1
部首:⽴
5画
“切立”で始まる語句
切立地
切立石垣