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切々
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せつせつ
ふりがな文庫
“
切々
(
せつせつ
)” の例文
正成のむねには、左近と松尾
刑部
(
ぎょうぶ
)
が呼び返しに行った正季の返答
如何
(
いかん
)
が、
切々
(
せつせつ
)
案じられてはいたが——しばしは眼のまえの卯木に、自分を貸していた。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
切々
(
せつせつ
)
と責められているのですが、今日この頃、この地へ落着いてみると、その責任が全く確実性を帯びて来ました。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
時に九月天高く露清く、山
空
(
むな
)
しく、月
明
(
あきら
)
かに、仰いで
星斗
(
せいと
)
を
視
(
み
)
れば
皆
(
みな
)
光大
(
ひかりだい
)
、たまたま人の上にあるがごとし、
窓間
(
そうかん
)
の
竹
(
たけ
)
数十
竿
(
かん
)
、相
摩戞
(
まかつ
)
して声
切々
(
せつせつ
)
やまず。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また、
月
(
つき
)
の
明
(
あか
)
るい
晩
(
ばん
)
など、このあたりから
起
(
お
)
こる
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
は、
万
(
まん
)
の
霊魂
(
れいこん
)
をなぐさめるものと
思
(
おも
)
われました。そして、
村人
(
むらびと
)
の
耳
(
みみ
)
に、
切々
(
せつせつ
)
として、
悲
(
かな
)
しいしらべを
送
(
おく
)
るのでした。
万の死
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
何を
為
(
す
)
るのかと思うと先生は、又一度あたりの様子を見渡して、誰も通らないのを見澄まして銀杏の根方に立ち寄って、積った葉を掻き
除
(
の
)
けると、
切々
(
せつせつ
)
そこを掘り初めました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
▼ もっと見る
朝倉先生の言葉は、
切々
(
せつせつ
)
として、はたで聞いている次郎の胸にも、深くしみていった。
次郎物語:02 第二部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
高利
(
アイス
)
を世話して、口銭を取る。酒を飲ませてお
流
(
ながれ
)
頂戴。
切々
(
せつせつ
)
内へ呼び出しちゃ、
花骨牌
(
はなふだ
)
でも
撒
(
ま
)
きそうに思ってるんだ。何の事はない、美少年録のソレ何だっけ、
安保箭五郎直行
(
あほのやごろうなおゆき
)
さ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ことばは、
切々
(
せつせつ
)
、ていねいであっても、身はそのまま戦場人の二人だった。このとき、上杉重房も言った。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その弾奏は自慢だけに、堂に
入
(
い
)
ったところがあります。
大絃
(
だいげん
)
は
嘈々
(
そうそう
)
として、急雨のように響かせるところは響かせます。
小絃
(
しょうげん
)
は
切々
(
せつせつ
)
として、私語のように掻き鳴らすところは鳴らします。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
竹杖
軽
(
かろ
)
げに
右手
(
めて
)
に取り直し、血に
渇
(
かっ
)
したる喜三郎の兇刃に接して
一糸一髪
(
いっしいっぱつ
)
を
緩
(
ゆる
)
めず放たず、
冷々
(
れいれい
)
水の如く機先を制し去り、
切々
(
せつせつ
)
氷霜
(
ひょうそう
)
の如く
機後
(
きご
)
を圧し来るに、音に聞えし喜三郎の
業物
(
わざもの
)
も
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
正成はお
諫
(
いさ
)
めして「このさいは、新田殿を
退
(
ひ
)
かせ、尊氏をお招きあって、尊氏とおはなし合いになることが、もっとも万全な御方針かとおもわれます」と、
切々
(
せつせつ
)
申しあげたという。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、宮は
切々
(
せつせつ
)
と警固の士へ訴えて、夜食の
箸
(
はし
)
もお取りにならぬ有様だとある。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
曲はすすみ、
大絃
(
たいげん
)
は
嘈々
(
そうそう
)
、小絃は
切々
(
せつせつ
)
——
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
切
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
々
3画
“切”で始まる語句
切
切支丹
切尖
切先
切羽
切符
切歯
切迫
切通
切立