其処等そこら)” の例文
旧字:其處等
『あゝつ、』といまはしさにはらつて、すはなほして其処等そこらみまはす、とそつ座敷ざしきのぞいた女中ぢよちゆうが、だまつて、スーツと障子しやうじめた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
恋の真実まことは苦労人にあるとか申してございますのも其処等そこらを研究したものでありましょうか。
青玉せいぎよくのやうな光が私の身体からだから出て、水の中の物がだんだんと目に見えて来ると云ふ風に其処等そこらがはつきりとして来ると云ふやうなことは、私が書かうと思つたことではありません。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
又、此の屑屋がきょうがつた男で、鉄砲笊てっぽうざるかついだまゝ、落ちたところ俯向うつむいて、篦鷺へらさぎのやうに、竹のはし其処等そこらつっつきながら、胡乱々々うろうろする。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
泥濘ぬかるみへば、まるでぬまで、構内こうないまで、どろ/\と流込ながれこむで、其処等そこらめん群集ぐんしふ薄暗うすぐらみなあめしをれてた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
住居すまゐ其処等そこら散歩さんぽをする、……ほこらいへにはおうら留主るすをして、がために燈火ともしびのもとで針仕事はりしごとでもるやうな、つひしたたのしい心地こゝちがする。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
て、よくはわからぬ、其処等そこらふか、ほこらふか、こゑつたへる生暖なまぬる夜風よかぜもサテぼやけたが、……かへみちなれば引返ひきかへして、うか/\と漫歩行そゞろあるきのきびすかへす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)