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傍目
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はため
ふりがな文庫
“
傍目
(
はため
)” の例文
この
両人
(
ふたり
)
が卒然と
交
(
まじわり
)
を
訂
(
てい
)
してから、
傍目
(
はため
)
にも不審と思われるくらい
昵懇
(
じっこん
)
な
間柄
(
あいだがら
)
となった。運命は
大島
(
おおしま
)
の表と
秩父
(
ちちぶ
)
の裏とを縫い合せる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その老母が病んで
逝去
(
みまか
)
ると、生信房のなげきは
傍目
(
はため
)
にも痛々しいほどで、幾日も食を断って、母の
墓掃
(
はかはき
)
に余念なく暮している様子を見
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こちらは濛々と大きなお鍋から湯気が立って、
傍目
(
はため
)
にはひどく美味しそうだったが、取柄といえば温いばかり。今夜も下らなく仇辛いお雑炊だった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
その時、体をひどく悪くしていたことも手伝って、それなりに文壇を
遠退
(
とおの
)
いてしまった。
傍目
(
はため
)
にはそうまでしなくてもよさそうに思われたに違いない。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
私はオリザニンの注射カムフルの注射で飽きあきしてスエ子の一日に二度の注射を
傍目
(
はため
)
にも重荷のように眺めます。スエ子は目下職業をさがしています。
獄中への手紙:03 一九三六年(昭和十一年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
水を差すべくその愛は
傍目
(
はため
)
にも余り純情で、
殊更
(
ことさら
)
らしい誠実を要せず、献身を要せず、
而
(
しか
)
も
聊
(
いさゝか
)
の動揺もなかつた。
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
傍目
(
はため
)
には、ちっとも派手でないけれども、もそもそ、満面に朱をそそいで、いきんでいました。
八十八夜
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「ほんとだよ。お前さんとこの人との
相対
(
あいたい
)
ずくなら、何を言おうと勝手だろうがね、なんぼこの人だって少しや
傍目
(
はため
)
というものがあろうじゃないか。あんまり阿漕だよ。」
ムツェンスク郡のマクベス夫人
(新字新仮名)
/
ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコーフ
(著)
傍目
(
はため
)
には恋人同士のように見えたかも知れません。実際これから熱海で静養させる妻と二人きりの生活のことを考えると、新婚当時の悦びをまた繰り返している気持でした。
消えた霊媒女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
封建武士は、
余所
(
よそ
)
の花を
傍目
(
はため
)
に眺めて暮らすの外、別に妙手段もなし。彼らの
世禄
(
せいろく
)
は依然たり、社会の生活は、
駸々乎
(
しんしんこ
)
として進歩せり。今は
詮方
(
せんかた
)
なし、ただ借金の一あるのみ。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
いかなる深刻な
懊悩
(
おうのう
)
、いかなる精神的苦痛、
傍目
(
はため
)
には知れぬ失意、
劇
(
はげ
)
しい苦悶がその動機となっての結果であろうか? こうした場合に世間ではよく恋愛関係の悲劇を探したり想像してみたりする。
ある自殺者の手記
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
一生懸命に柔和であろうとする小さな努力が
傍目
(
はため
)
にもよく見えた。
フランセスの顔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「それにしては、余りに今度のことは理に合わないご
折檻
(
せっかん
)
ではありませんか。
傍目
(
はため
)
にも疑われるほど……実に苛烈すぎる」
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊東入道の
女
(
じょ
)
八重姫に恋なされたかと思えば、亀の前に移り、北条殿の深窓へも文を通わされる。……何たる
痴者
(
ちしゃ
)
。……
傍目
(
はため
)
にすら、舌打ちが出る。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分では何の症状も覚えず、つねに
歪
(
ゆが
)
められざる
正気
(
せいき
)
と
昭々
(
しょうしょう
)
の
眼
(
まなこ
)
をもって、世を
観
(
み
)
ること、国を思うこと、忘れぬつもりではいても……。さて、
傍目
(
はため
)
には
如何
(
いかが
)
なものやら
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手に
唾
(
つば
)
し、
藁
(
わら
)
を
素
(
す
)
ごき、
掌
(
たなごころ
)
と掌を合わせて
綯
(
な
)
う力にも、何か
傍目
(
はため
)
にも分る熱気がこもっていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、露八は、
髪結
(
かみゆい
)
の亭主と同じように、
傍目
(
はため
)
からみればいい身分のような境涯だった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芸妓
(
おんな
)
たちは、
冗談
(
じょうだん
)
と
嫉妬
(
しっと
)
を、巧みに交ぜて、二人を
揶揄
(
からか
)
った。まったく、斧四郎はお喜代を大事にしているし、お喜代は、斧四郎に、心から素直に
侍
(
かしず
)
いていて、
傍目
(
はため
)
にも、
濃
(
こま
)
やかな愛情が見える。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「余りにお忙しいので、
傍目
(
はため
)
にも、お体が案じられまする」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傍目
(
はため
)
もない恋を語らい合っている様もまま見かけられた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傍目
(
はため
)
にはまるでおかしいような狂態を現わして来た。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傍目
(
はため
)
にも並ならぬお心入れのようでした
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傍
常用漢字
中学
部首:⼈
12画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“傍”で始まる語句
傍
傍若無人
傍見
傍人
傍輩
傍観
傍杖
傍題
傍道
傍眼