代々よよ)” の例文
ここの軒から彼方に見えた一の高山を、独龍山どくりゅうざんといい、その中腹に、この地方を統治している祝朝奉しゅくちょうほうという豪族が代々よよ住んでいる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いたずらに、秘呪と称せられるのみにて、ここに十六代、代々よよ、扶持せられて安穏に送るほか、何一つとして、功を立てたことはござりませぬ
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
イエスのその言葉のごとくペテロは貪欲で、ペテロの宗派をつぐ代々よよのひじりたちの中にも、ペテロの如くきんを愛する人が多いといはれてゐる。
イエスとペテロ (新字旧仮名) / 片山広子(著)
玉敷たましきの都の中に、むねを並べいらかを争へる、たかいやしき人の住居すまひは、代々よよてつきせぬものなれど、これをまことかとたづぬれば、昔ありし家はまれなり。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
此の里の二七上の山に一宇の二八蘭若てらの侍る。もと二九小山氏の三〇菩提院ぼだいゐんにて、代々よよとこの住み給ふなり。
ここは四方よもの壁に造付けたる白石の棚に、代々よよの君が美術に志ありてあつめたまひぬる国々のおほ花瓶、かぞふる指いとなきまで並べたるが、の如く白き、琉璃るりの如くあお
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
今にして当時を顧みれば、なお冷汗ひやあせの背を湿うるおすを覚ゆるぞかし、安藤氏は代々よよ薬屋にて、当時熱心なる自由党員なりしが、今は内務省検疫官けんえきかんとしてすこぶ精励せいれいの聞えあるよし。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
大和の国中くになかに、宮うつし、宮さだめ遊した代々よよの日のみ子さま。長く久しい御代御代に仕えた、中臣の家の神業。郎女さま。お聞き及びかえ。遠い代の昔語り。耳明らめてお聴きなされ。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
東に覇府はふありてより幾百年、唯東へ東へと代々よよみかど父祖ふその帝の念じ玉ひし東征の矢竹心やたけごころを心として、白羽二重にはかま五歳いつつ六歳むつつ御遊ぎよいうにも、侍女つかへをみなを馬にして、東下あづまくだりとらしつゝ
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
わたくしは国語の美に魅せられ、見も知らぬ代々よよの女房たちの亡霊のつきまとふのを拒み切れないで、わたくしは畏友の忠告にもかかはらず、わが性情に殉じて古典派詩人に甘んじてゐる。
針金細工の詩 (新字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
国興り、た滅び、また代々よよありき。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「そんな馬鹿げたうしだてにはなりますまい。阿波は松平の御姓おんせいを賜わり、代々よよ、将軍のお名の一字をいただくほどな家筋じゃ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからの世界の女たちが、無数の女たちが、家もなく波のやうにたよりなく生きてゐるのである。女が代々よよに受け嗣ぐものは海の波のやうに塩からい。
四つの市 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
結婚沙汰ざたみてより、妾は一層学芸に心をめ、学校の助教を辞して私塾を設立し、親切懇到こんとうに教授しければ、さらぬだに祖先より代々よよ教導を以て任としきたれるわがいえの名は
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
國興り、た滅び、また代々よよありき。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
その種子たねは、遠い熱帯の異国からわずかにもたらされて、しゅうの代にようやく宮廷の秘用にたしなまれ、漢帝の代々よよになっても、後宮こうきゅうの茶園に少しまれる物と
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みひかりや、かつかさね、代々よよしましぬ。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
とはいえ、今は亡びたりといえ、旧主新免家の代々よよの御恩も、忘却してはならぬ。——なおなお、われらこの地に流浪の日には、落魄おちぶれ果てていたことをも、喉元のどもとすぎて、忘れては身に済まぬ。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みひかりや、かつかさね、代々よよしましぬ。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
代々よよしき、日向ひむかすでに。
新頌 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
代々よよしき、日向ひむかすでに。
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)