亜剌比亜アラビア)” の例文
旧字:亞剌比亞
マホメットという人物を宗祖として、近東亜剌比亜アラビアの沙漠の国へ興った、非常に武断的の宗教の、教主であるということであった。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
煙草たばこの世に行はれしは、亜米利加アメリカ発見以後の事なり。埃及エジプト亜剌比亜アラビア羅馬ロオマなどにも、喫煙の俗ありしと云ふは、青盲者流せいまうしやりうのひがごとのみ。
亜剌比亜アラビアの医師カアシッシュの不思議なる医術上の経験」といふ尺牘体せきとくたいには、基督教の原始にさかのぼりて、意外の側面に信仰の光明を窺ひ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
亜剌比亜アラビア式の平べったい煉瓦積み(煉瓦は板壁にペンキで描いたもの)に、カーキー色と赤のダンダラの日除けを張りまわしているのがある。
その癖亜剌比亜アラビア馬とはんな馬をいふのか、一向区別みさかひがつかず、骨牌の切札とはどんなものか、それも知りもしなかつた。
これで頭の中から薪駄っぽと五五の二十五と、亜剌比亜アラビア数字の幻影を追い出そうと思ったのだ。果して、息を吐いてから気持もすくなからず軽くなった。
幸福な家庭 (新字新仮名) / 魯迅(著)
彼の出現当時の亜剌比亜アラビアは、婦人を兼併けんぺいするのへい実に甚しきものあり、彼に至ってこの弊にかんがみて、その数をば五人というが如くに幾らか制限したのであったが、またソロモンと同じく
現代の婦人に告ぐ (新字新仮名) / 大隈重信(著)
御仮屋おかりやの前のうまやには二百四十頭の牝馬めうまつないでありましたが、わけても殿下の亜剌比亜アラビア産にめあわせた三十四頭の牝馬と駒とは人目を引きました。この厩を四方から取囲とりまいて、見物が人山を築く。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もともとこの本は今まで完全な欧洲語訳がなかったと言われる亜剌比亜アラビアの物語を、リチャード・バアトンが始めて逐字的に英語に移して、バアトン倶楽部クラブから会員組織で出版した限定版であって
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ABCアルファベットとも亜剌比亜アラビア文字ともつかぬ日本にない大変な恰好かっこうの片仮名がまじって、おまけにあちらこちら消しだらけなのですから、いくら懐かしがってみても、どうしてもその意味がわからないのです。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
ちょうど、亜剌比亜アラビアから名高なだか魔法使まほうつかいがはいってきました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、亜剌比亜アラビア語などひけらかす者もいる。
「一千一夜物語」は子供のあひだに知れ渡つてゐるにもかかはらず本当の値打が僅かに亜剌比亜アラビア語学者にしか認められてゐないと云ふ感慨がれて出た。
と云うのはカアバというこの文字の意味は、亜剌比亜アラビアのメッカ市に存在する、回教の殿堂の名なのであるから。
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
五五の二十五と、まだ頭の中は亜剌比亜アラビア数字で混乱していた。彼は深く息を吸って、力強く吐き出してみた。
幸福な家庭 (新字新仮名) / 魯迅(著)
硝子の破れ目から怪我けがをしないように、手を突込んで、注意して調べてみると、全部で五冊に別れていて、その第一頁ごとにあかインキの一頁大の亜剌比亜アラビア数字で、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼の心は神戸から自分を乗せてはしって来た仏蘭西船へ行き、あの甲板の上から望んで来た地中海へ行き、紅海へ行き、亜剌比亜アラビア海へ行った。恐ろしい永遠の真夏を見るような印度インド洋の上へも行った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
バアトンはスタインホイザアと亜剌比亜アラビアのことをいろいろ話してゐるうちに、おのづと話題が「一千一夜物語」に移つて行つて、とうとう二人ふたりの口から
「ああいう品物を手に入れるのは、個人としては危険なのだよ。どうでもあれは昔に返して、亜剌比亜アラビアの沙漠の神殿の奥へ、封じ込まなければならないのだよ」
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その第十巻の終りに Terminal Essay が附いてゐて、此の物語の起源、亜剌比亜アラビア風俗ふうぞく欧羅巴ヨオロツパに於ける訳本等がくはしく討究たうきうされてゐる。
いかにも左様でござります——その伝説に依りますと、その耳飾はずっと往昔むかし西班牙スペインの国を支配していた亜剌比亜アラビア回教徒の酋長が、耳に附けていた耳飾で、その耳飾を
闘牛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
亜剌比亜アラビアの沙漠に悪疫あり、奔馬して一瞬に人体をやぶる。マホメットの時終滅す」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)