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一文
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いちもん
ふりがな文庫
“
一文
(
いちもん
)” の例文
その金を旅費にしてネパール国へ出掛けた訳でありますが、私は
一文
(
いちもん
)
でも金をくれろといって頼んで貰った訳ではない。全く皆様の
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
先生だつて
返
(
かへ
)
せればとうに
返
(
かへ
)
すんだらうが、月々余裕が
一文
(
いちもん
)
も
出
(
で
)
ない
上
(
うへ
)
に、月給以外に
決
(
けつ
)
して
稼
(
かせ
)
がない男だから、つい夫なりにしてあつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
おれは
一文
(
いちもん
)
なしになって、皆にばかにされて、うえ死にをしなければならないんだ。五分
切
(
ぎ
)
り、
一寸
(
いっすん
)
だめしも同様だ。
かたわ者
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
うちのむすこの
銅像
(
どうぞう
)
でもたてるというなら、いくらでも金を出すが、ペテロなんかの銅像に、
一文
(
いちもん
)
だって出すもんか。
丘の銅像
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
何でも学位論文を書いているという評判だった。彼は父の軍医と一緒に兵営の中で
起居
(
ききょ
)
して、もう三十になるのに自分のお金が
一文
(
いちもん
)
も無いのであった。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
▼ もっと見る
あいにく月末で、僕自身
一文
(
いちもん
)
の金もないのみならず、宿主の計理士が月末の例によって
行方
(
ゆくえ
)
をくらませてしまった。
青い絨毯
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
なにしろ、あいつらときたら、さんざん
飲
(
の
)
み
食
(
く
)
いしたあげく、
一文
(
いちもん
)
もはらわず、おまけにそのお
礼
(
れい
)
として、とんでもないいたずらをやらかすんですからね。
ならずもの
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
学問
(
がくもん
)
智識
(
ちしき
)
は
富士
(
ふじ
)
の
山
(
やま
)
ほど
有
(
あ
)
ツても
麺包屋
(
ぱんや
)
が
眼
(
め
)
には
唖銭
(
びた
)
一文
(
いちもん
)
の
価値
(
ねうち
)
もなければ取ツけヱべヱは
中々
(
なか/\
)
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
なり。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
「聞くほどもねえわさ、
一文
(
いちもん
)
にも金になるわけじゃなし、念仏さえ唱えていれば、倖せになるっていうなら、歌を唄っても、長者になれそうなもんじゃないか」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
○「お金入れの口を開けてみて、お金が
一文
(
いちもん
)
も無いときは何だか
可笑
(
おかし
)
くって可笑くって、あはあは笑うのよ。たとえ困るのは知れ切っていても、若さのせいか知らん。」
現代若き女性気質集
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「あんた、気でも違ったのかね。何という乱暴をするんだ。サア、弁償して下さい。売物が台無しになってしまった、二千円がビタ
一文
(
いちもん
)
かけても承知するこっちゃない」
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大雅
(
たいが
)
は偉い
画描
(
ゑか
)
きである。昔、
高久靄崖
(
たかひさあいがい
)
は
一文
(
いちもん
)
無しの窮境にあつても、一幅の大雅だけは手離さなかつた。ああ云ふ
英霊漢
(
えいれいかん
)
の筆に成つた
画
(
ゑ
)
は、何百円と
雖
(
いへど
)
も高い事はない。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その女はいつも暮れかゝつた頃に来て、たつた
一文
(
いちもん
)
の飴を買つてゆくのである。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
または袋の中からいろいろな
一文
(
いちもん
)
人形を出して並べ立てて、一々言い立てをして銭を貰うのは普通だったが、中には親孝行で
御座
(
ござ
)
いといって、張子の人形を息子に見立てて、胸へ
縛
(
しば
)
り付け
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
もしあたしにいま
一文
(
いちもん
)
もお金が無いという事がわかったら、あなたの奥さんも、お母さんも、それから、あなただって、どんなにいやな顔をするでしょう。いいえ、それにきまっているわ。
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
妾
不肖
(
ふしょう
)
なりといえどもわが子はわが手にて養育せん、誓って
一文
(
いちもん
)
たりとも彼が保護をば仰がじと
発心
(
ほっしん
)
し、その
旨
(
むね
)
言い送りてここに全く彼と絶ち、家計の保護をも謝して全く独立の歩調を
執
(
と
)
り
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
たった
一文
(
いちもん
)
に靴片方
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それについては金が必要であるけれども自分の手には金が
一文
(
いちもん
)
もなくなって、その時には既に借金が沢山出来て居ったです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
でね、少しあった株をみんなその方へ廻す事にしたもんだから、今じゃ本当に
一文
(
いちもん
)
なし同然な
仕儀
(
しぎ
)
でいるんですよ。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私が本来ヒネクレた上にもヒネクレたのは当然で、私は小学校の時から
一文
(
いちもん
)
の金も貰えず何も買って貰えないので、盗みを覚えた。中学へ行っても一文の小遣いも貰えない。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
一文
(
いちもん
)
の値打もみとめやしない、とでも言うようなようすで、のろのろと、さもめんどうくさそうにぶたの背中へはいあがり、それから、しぶしぶがちょうの背中へよじのぼって、あと足で立った。
カシタンカ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「その代り向う二十年の間は、
一文
(
いちもん
)
も御給金はやらないからね。」
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「その五百は、もうおらのもんではござりません。二百は
番兵
(
ばんぺい
)
にくれてやりました。あとの三百は、ユダヤ人が
両替
(
りょうがえ
)
してくれましただ。
法律
(
ほうりつ
)
のうえからいや、おらのものは
一文
(
いちもん
)
もねえでござります。」
うまい商売
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「よくないたって、僕のような
一文
(
いちもん
)
なしじゃほかに何も置いて行くものがないんだから仕方がなかろう」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もはや
一文
(
いちもん
)
の金も懐中にはない。女房はくるりとふりむき別室へ駈け去って泣く、泣きながら翌朝のオミオツケのタマネギをきり又なく。宿六がこれ女房よと呼びかけても返事をしない。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
宗助はあんな事をして
廃嫡
(
はいちゃく
)
にまでされかかった奴だから、
一文
(
いちもん
)
だって取る権利はない。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だからボールもバットも取り扱い方に困窮する。次には金がないから買う
訳
(
わけ
)
に行かない。この二つの源因からして吾輩の選んだ運動は
一文
(
いちもん
)
いらず器械なしと名づくべき種類に属する者と思う。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「桂月って何です」さすがの桂月も細君に逢っては
一文
(
いちもん
)
の価値もない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“一文”の意味
《名詞1》
一つの文章。
わずかな文章。
《名詞2》
一つの文字。
一枚の穴が開いた銭。
わずかな金銭。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
文
常用漢字
小1
部首:⽂
4画
“一文”で始まる語句
一文字
一文不通
一文獅子
一文無
一文商
一文不知
一文人形
一文字幕
一文字眉
一文菓子