“ぼたん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ボタン
語句割合
牡丹80.3%
12.5%
2.3%
扣鈕1.0%
釦鈕1.0%
牡丹花0.7%
紐釦0.7%
控鈕0.3%
扣釼0.3%
釦子0.3%
釦紐0.3%
釦金0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
牡丹ぼたんに対し中国人は丹色たんしょくの花、すなわち赤色せきしょくのものを上乗じょうじょうとしており、すなわち牡丹に丹の字を用いているのは、それがためである。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
又名優タルマの持物であつた外套用の大きなぼたんを見せて「これは自分に気持がよいからエジプ王に扮する場合に何時いつも用ひて居る」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
爾して其の本の抜けた後の空所へ手を差し入れたが、秘密のぼたんでも推したのか忽ち本箱が扉の様に両方へ開いた。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
七人とも上着の扣鈕ぼたんをみな掛けて、襟を立てて、両手をずぼんの隠しに入れている。話声もしない。笑声もしない。青い目で空を仰ぐような事もない。
(新字新仮名) / ウィルヘルム・シュミットボン(著)
西村は軍服を着て切腹の座に着いたが、服の釦鈕ぼたんを一つ一つ丁寧にはずした。さて短刀を取って左に突き立て、少し右へ引き掛けて、浅過ぎると思ったらしく、更に深く突き立ててゆるやかに右へ引いた。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
霜除しもよけをかぶった牡丹花ぼたんのように、お千絵様は中にかがまっていた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この骸骨が軍服を着けて、紐釦ぼたんばかりを光らせている所を見たら、覚えず胴震が出て心中で嘆息を漏した、「嗚呼ああ戦争とは——これだ、これが即ち其姿だ」
只大臣の服には、控鈕ぼたんあな略綬りゃくじゅはさんである。その男のにはそれが無い。のちに聞けば、高縄の侯爵家の家扶が名代みょうだいに出席したのだそうである。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
奥さんが、傍に這っている、絹糸を巻いた導線の尖の控鈕ぼたんを押すと、遠くにベルの鳴る音がした。廊下の足音が暫くの間はっきり聞えていてから、次の間まで来たしづえの御用を伺う声がした。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
裏付股引うらつきももひきに足を包みて頭巾ずきん深々とかつぎ、しかも下には帽子かぶり、二重とんびの扣釼ぼたん惣掛そうがけになし其上そのうえ首筋胴の周囲まわり手拭てぬぐいにてゆるがぬよう縛り、鹿しかの皮のはかま脚半きゃはん油断なく
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そのために、スクルージは、彼を観察して、胴衣を透かして見遣りながら、上衣の背後に附いている二つの釦子ぼたんを見ることが出来た位であった。
月の光を浴びて身辺処々ところどころさんたる照返てりかえしするのは釦紐ぼたんか武具の光るのであろう。はてな、此奴こいつ死骸かな。それとも負傷者ておいかな?
なぜなら、コペンハアゲンそのものが「こまかい花文字でべったり書かれて、唐草模様アラベスクの獣皮の表紙に真鍮の鋲を打ち、ゴセックふうの太い釦金ぼたんで綴じてある」
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)