“ボタン”のいろいろな漢字の書き方と例文
ひらがな:ぼたん
語句割合
79.0%
9.8%
扣鈕3.5%
控鈕2.8%
釦鈕2.8%
紐釦1.4%
0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼の上着には腰のあたりにボタンが二つ並んでいて、胸はいたままであった。霜降の羅紗ラシャも硬くごわごわして、極めて手触てざわりあらかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
埃と白墨チヨオクみた詰襟の洋服に着替へ、黒いボタンを懸けながら職員室に出て来ると、目賀田は、補布つぎだらけな莫大小メリヤスの股引の脛を火鉢にあぶりながら
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
Brrrrと唇をふるわして、彼は、金属性の扣鈕ボタンを二つ三つコップへ入れて振る。するとそれが、一羽のひなっ子に早変りして出て来る。見物が集まる。
薄き汗衫じゆばん一枚、鞣革なめしがははかま一つなるが、その袴さへ、控鈕ボタンはづれて膝のあたりに垂れかゝりたるを、心ともせずや、「キタルラ」のいと、おもしろげに掻き鳴して坐したり。
いでカラアの釦鈕ボタンをはめむとするに、手の短いかはりに、くびは大きく、容易にはまらず。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
なんという型のものであるか私には判らぬけれども、ひとめ見た印象で言えば、シルレルの外套である。天鵞絨ビロード紐釦ボタンがむやみに多く、色は見事な銀鼠ぎんねずであって、話にならんほどにだぶだぶしていた。
ダス・ゲマイネ (新字新仮名) / 太宰治(著)
あやしんで彼が空を仰いだとき、とある星座の鍵がひとところ青いボタンを喪つてほのかに白く霞んでゐた。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)