紐釦ボタン)” の例文
紐釦ボタンが出ていてこれを踏みさえすれば、隣室に忍んでいる用心棒が私の背後のたつを排して、ニュウッと現れる仕組みになっていたのであった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
なんという型のものであるか私には判らぬけれども、ひとめ見た印象で言えば、シルレルの外套である。天鵞絨ビロード紐釦ボタンがむやみに多く、色は見事な銀鼠ぎんねずであって、話にならんほどにだぶだぶしていた。
ダス・ゲマイネ (新字新仮名) / 太宰治(著)
驚破すわといわば、スグその指の下の紐釦ボタンを押さんばかりの姿勢であった。紐釦を押せば、たちまち階下から小間使なり、女中なりが駈け上って来るのは必定であった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)