扣鈕ボタン)” の例文
くものは唯だ一馬なるが、その足は驅歩かけあしなり。一軒の角屋敷の前には、焚火して、泅袴およぎばかま扣鈕ボタン一つ掛けし中單チヨキ着たる男二人、むかひ居て骨牌かるたを弄べり。
Brrrrと唇をふるわして、彼は、金属性の扣鈕ボタンを二つ三つコップへ入れて振る。するとそれが、一羽のひなっ子に早変りして出て来る。見物が集まる。
薄暗いこの室の背景にすかして見ると、窓は衣服に光る扣鈕ボタンが二列に付いてゐるやうに見える。遠いのは段々小さくなつて、その先は船壁の曲る所で見えなくなつてゐる。室の中央に廊下がある。
黒人の眼は異様に輝きを増し、扣鈕ボタンだけでは面白くないからと客に投げ銭を求める。あちこちからお金が降る。
またルセアニアの商人と同じコンパアトメントである。私達は短衣ヴェスト扣鈕ボタンを突つき合って、大笑いした。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
お茶の舞踏には、火の玉みたいな彼女の断髪が、彼の短衣チョッキの胸にへばり附いて、仲よくチャアルストンした。彼はその、上から二つ目の扣鈕ボタンの横に残った白粉おしろいのあとを、長いこと消さずにいた。
踊る地平線:11 白い謝肉祭 (新字新仮名) / 谷譲次(著)