釦鈕ボタン)” の例文
スパイたちはそんな物へは眼もくれなかった。伯爵夫人の指揮ですぐ腹部の釦鈕ボタンを開く。案のじょう、膚に直接厳丈がんじょう革帯ベルトを締めていた。ポケットがある。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
いでカラアの釦鈕ボタンをはめむとするに、手の短いかはりに、くびは大きく、容易にはまらず。
燕尾服着初めの記 (新字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
謙三郎はじたる色あり。これが答はなさずして、胸の間の釦鈕ボタンを懸けつ。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雅楽所の門内にはくるまがたくさん並んでいた。馬車も一二台いた。しかし自動車は一つも見えなかった。自分は玄関先で帽子を人に渡した。その人は金の釦鈕ボタンのついた制服のようなものを着ていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その書類を地下室へ持っていって写真をったのち、すぐメリコフのポケットへ返して錠をおろし、元どおり洋服の釦鈕ボタンを掛けておいた。メリコフはこんこんと眠っている。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)