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だいしんりん
猛狒と
大奮鬪の
塲所から
凡そ七八
町も
歩んだと
思ふ
頃、
再び
海の
見える
所へ
出た。それから、
丘陵二つ
越え、
一筋の
清流を
渡り、
薄暗い
大深林の
間を
※ぎ、
終に
眼界の
開くる
所、
大佐の
家を
眺めた。
山の
半腹以上は
赤色の
燒石の
物凄い
樣に
削立して
居るが、
麓は
限りもなき
大深林で、
深林の
中央を
横斷して、
大河滔々と
流れて
居る
樣子、
其邊を
進行したら
隨分奇しき
出來事もあらうと
思つたので
天地開闢以來未だ
斧鉞の
入らざる
大森林、
到る
處に
蓊鬱として
居る。
印度河、
恒河の
濁流は
澎洋として
果も
知らず、
此偉大なる
大自然の
内には、
何か
非常に
恐るべきものが
潛んで
居ると
考へさせる。
といふのは
目の
前に
大森林があらはれたので。