“くちさき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
口先34.8%
口頭26.1%
口前8.7%
8.7%
口上4.3%
口吻4.3%
口尖4.3%
口端4.3%
嘴先4.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
てん恩惠めぐみかさね/″\くだり、幸福かうふく餘所行姿よそゆきすがた言寄いひよりをる。それになんぢゃ、意地いぢくねのまがった少女こめらうのやうに、口先くちさきとがらせて運命うんめいのろひ、こひのろふ。
とは思わず口頭くちさきはしった質問で、もちろん細君が一方ひとかたならず同情を主人の身の上に寄せたからである。しかし主人はその質問には答えなかった。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
口前くちさきの上手な事をいうのは出来なかったよりも持前の剛愎が許さなかった。人の感情をこわすナゾは余り問題にしなかったから、人と衝突するのは馬琴の生涯には珍らしくなかった。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
水面と金網の上部とがスレスレになると、鼠は薄赤いくちさきを、亀甲きっこう型の網の間から、出来る丈け上方に突き出して、悲しい呼吸を続けた、悲痛なあわただしい鳴声を発しながら。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
君達も知つてるだらうが近頃縁日夜店に出てゐる大道競売屋、あれだよ。口上くちさき欺騙ごまかしてやすく仕入れたいかさまものをドシ/\売附けて了うのだ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
マスクの上から鼻をおさえてみると、なにかお猿の口吻くちさきのようにピョコンと飛び出しているものがあって、その間から呼吸いきが通うらしく、そして何だか薬品の匂いらしい涼しい香りがした。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
くちばしの色を見るとむらさきを薄くぜたべにのようである。その紅がしだいに流れて、あわをつつく口尖くちさきあたりは白い。象牙ぞうげを半透明にした白さである。この嘴が粟の中へ這入はいる時は非常に早い。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「だめだよ、口端くちさきできいたふうな事を云ったって、からっきしだめじゃないか、しっかりおしよ」
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ラランの悪知慧わるぢえ有名いうめいなもので、ほかのとりがうまくんでるのをると、近寄ちかよつては自分じぶんとがつた嘴先くちさきでチクリとして墜落ついらくさせてしまふのだ。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)