口前くちさき)” の例文
唯私に対してそう言って見ただけなのか、腹から出たとも口前くちさきから出たとも分らないような調子で言うから
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
口前くちさきの上手な事をいうのは出来なかったよりも持前の剛愎が許さなかった。人の感情をこわすナゾは余り問題にしなかったから、人と衝突するのは馬琴の生涯には珍らしくなかった。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)