麗人れいじん)” の例文
それから一時間ほどして、目賀野は医師やら博士のめいの秋元千草という麗人れいじんや博士の助手の仙波学士を伴い、自動車で駆けつけた。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
周の穆王ぼくおうが美少年慈童じどうの、紅玉を薄紙で包んだような、玲瓏れいろうとした容貌を眺めた時、後室三千の美姫びき麗人れいじんが、あくたのように見えたということである。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
やがて、伴われて、楚々そそとしてそこへはいって来たのは、月夜の衣裳には余りに寒い! 白絹の小袖に、白絹のかいどり、帯までが白い——死装束しにしょうぞく麗人れいじんであった。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふぢはなむらさきは、眞晝まひる色香いろかおぼろにして、白日はくじつゆめまみゆる麗人れいじん面影おもかげあり。憧憬あこがれつゝもあふぐものに、きみかよふらむ、高樓たかどのわた廻廊くわいらうは、燃立もえた躑躅つゝじそらかゝりて、宛然さながらにじへるがごとし。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その金がある日、河を渡っていると、遥かの上流から蓮の葉が流れて来たが、その大きさはむしろのようであった。それには一人の麗人れいじんが坐っていたが、近づいてから見るとそれは彼の仙女であった。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
たぐひもあらぬ麗人れいじん
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
しばらくすると門の中から、さっきの紳士が、栗鼠の毛皮のオーバーにくるまった細面ほそおもて麗人れいじんを伴って出て来た。
すると、幾十の麗人れいじんが、しょうをあわせて吹くごとき竹林ちくりんの風——ザザザザザッ……とそよぎ渡ったかと思うと、竹童ははッきりと意識いしきを呼びかえされて、パッチリこの世の目をひらいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たぐひもあらぬ麗人れいじん
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
それは気味の悪い屍体でもあろうかと、胸おどらせて夜具を剥いでみれば意外にも意外、麗人れいじん糸子の人形のような美しい寝顔が現われたのである。これは一体どうしたことであろう。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
僕はくわしいことは一向知らないけれど、余程のロマンスでもないかぎり、大尉どのに、あの麗人れいじんがかしずく筈がないと思うんだ、いや、大尉どのは憤慨ふんがいせられるかも知れないけれどね——。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それなら、ちょいとうかがってみたい一条がある、とでもねじ込みたい。大尉どのの、あのうるわしい奥様のことなんだ。あんな見事な麗人れいじんをお持ちでいて、『恋はすまじ』は、すさまじいと思うネ。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
このような楚々そそたる麗人れいじんを、妻と呼んで、きたきた紅閨こうけいようすることの許された吾が友人柿丘秋郎こそは、世の中で一番不足のない果報者中かほうものちゅうの果報者だと云わなければならないのだった。
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
めたる麗人れいじん
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
麗人れいじんの行方
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)