鳶頭かしら)” の例文
つぐなひ難い重大事なので、同じ目にあつた鳶頭かしらの銀次と共に、本堂の傍の部屋に踏止つて、果てしもない相談事に沒頭してをります。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
彼は鉄物かなもの屋の店さきを素通りして、町内の鳶頭かしらうちをたずねた。鳶頭はあいにく留守だというので、彼はその女房とふた言三言挨拶して別れた。
半七捕物帳:03 勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
翌朝よくあさになると、お母さんが直に鳶頭かしらを呼びにやって、右の話をいたし、一時いちじ粂之助のひまを取って貰いたいと云う。鳶頭も承知をして立帰った後で
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
江戸入りは三人になったが、厳しい藩邸やしきの門はさすがにくぐらせられない。出入りの町家ちょうかに預けておくうちに母親は鳶頭かしらのところへ娘を連れて再縁した。
今日が婚礼なので、門に高張たかはりを立て、店には緋の毛氈を敷いて金屏風をめぐらし、上下かみしもを着た番頭や印物しるしものを着た鳶頭かしらが忙しそうに出たり入ったりしている。
顎十郎捕物帳:20 金鳳釵 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
蝶吉に肱鉄砲ひじを食ッて、鳶頭かしらに懐中の駒下駄を焼かれた上、人のこどもを食おうとする、獅子身中の虫だとあって、内の姉御あねごに御勘気をこうむったのを、平蜘蛛ひらぐもわびを入れて、以来きっと心得まするで
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「矢張りそうでしたか、私もそんな事では無いかと思いましたよ、鳶頭かしらの藤次郎は念入な男で、ヤワな仕事をする人間じゃございません」
夜が明けるとすぐに塾の書生さんを走らせて鳶頭かしらを呼びにやる。何事ならんと勝五郎かつごろうおどろいて飛んで来ました。
あの人は町内の鳶頭かしらで、本名は平五郎、あたまが禿げているので薬罐平やかんべえという綽名を付けられたのですが、あの人はまことに良い人で、町内の為にもよく働いてくれました。
半七捕物帳:54 唐人飴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
どこまで発展するかも解らないお国の呪いを聞き捨てて、平次は出入りの鳶頭かしらの家へ行ってみました。これは寅松という五十男。
小「ウーン、掛廻かけまわりじゃアありませんし、若旦那はあんなことばかり云ってる、鳶頭かしら小言を云っておくれよ」
町内の鳶頭かしらが来まして、なにかいろいろになだめて、駕籠屋にも幾らかの祝儀をやって、くだをまいているその男を無理に押込むように駕籠にのせて、ようようのことで追返してしまいました。
蜘蛛の夢 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「矢張りさうでしたか、私もそんなことではないかと思ひましたよ。鳶頭かしらの藤次郎は念入りな男で、ヤハな仕事をする人間ぢやございません」
鳶頭かしらまことに面目ない……、私もお若さんが尼になっていなさりょうとは思いもかけず、此処こゝらをうろつくうちにお嬢さんが伊之さんかというような訳から
それでも鳶頭かしらの藤次郎の説明で、十数ヶ所の縄に、少しずつでも、刃物を入れてあったことだけは確かにわかりました。
これを懐へ入れて置いたのが、立上る機勢はずみにドサリと落ちたから番頭はこゝぞと思って右の巾着を主婦あるじの前へ突付けたり、鳶頭かしらにも見せたりして居丈高いたけだかになり
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
店の者にも内々申し聞かせ、出入りの酒屋、さかな屋、鳶頭かしらにも話して、内々仕度をしてゐると、あの騷ぎでございます。
それもわし心配しんぺえだから、彼処あすこの手前の横町に石屋がありやすから、石を敷いて咎められやしねえかと聞いたら、傍にお箪笥町の鳶頭かしらが立って居やんして、いうには
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
店の者にも内々申し聞かせ、出入りの酒屋、さかな屋、鳶頭かしらにも話して、内々仕度をしていると、あの騒ぎでございます。
鳶頭かしらから手切の相談さ、ところでわしもダヾをねようとア思ったんだが、イヤ/\左様でない
それに蔵の中の二千両、あとは店やら奥から持出して五千両に纏め、番頭の嘉助に丁稚でっちを二人、鳶頭かしらまでつけて、細川様御中屋敷に送ってやりました。
処へ鳶頭かしらが来まして
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「惡い雲が出て來たね、鳶頭かしら、此邊で夕立に降り込められるより、一と思ひにしちや何うだらろう」
「お前は、り組の鳶頭かしらのところへ行つて、磯吉を探し出し、板倉屋へ連れて行つて首實驗くびじつけんをしてくれ」
鳶頭かしらの銀次は茶が好きぢやないから、半分しか呑まなかつたんで、一番先に氣がついたさうですよ。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「おや、あれは鳶頭かしらぢやないか、——ちよいと此處へ呼んで來てくれ。人に見られないやうに」
三千兩の小判は三つの千兩箱に詰められ、主人治兵衞の手で封印ふういんほどこし、番頭の源助と鳶頭かしらの辰藏が宰領さいりやうで、手代りの人足共總勢六人、柳橋に掛つたのは丁度晝時分でした。
「おや、あれは鳶頭かしらじゃない、——ちょいと此処へ呼んで来てくれ、人に見られないように」
「これで、花火見物の棧敷さじきの落ちたのは、鳶頭かしらの手落ちでもなんでもないと解つたわけだよ」
三千両の小判は三つの千両箱に詰められ、主人治兵衛の手で封印を施し、番頭の源助げんすけ鳶頭かしら辰蔵たつぞうが宰領で、手代りの人足ども総勢六人、柳橋に掛ったのはちょうど昼時分でした。
驚いて大きな聲を出すと、皆んな飛んで來て、大騷ぎになりましたが、いざとなると井戸の中へ降りて行くものがないんです。仕方がないから鳶頭かしらを呼んで來て、ようやく引揚げましたが
人のうらみも隨分買つてゐるわけで、此間からたちの惡い惡戯が引つ切りなしだ、塀や羽目は落書きで一パイだし、石をはふる者、店先へ泥を飛ばす者、出入の鳶頭かしらの半次が見張つた位ぢや
「寝ずの番をしていた鳶頭かしらの辰蔵が、くびくくるといって騒いだが、それは止めた」
「寢ずの番をして居た鳶頭かしらの辰藏が、くびくゝると言つて騷いだが、それは止めた」
「それが大變で——斯うですよ、もう半歳も前ですが、増田屋の主人金兵衞が、お孃さんの多與里と、鳶頭かしらの半次をつれて、久しぶりに淺草の觀音樣へお詣りに行つたと思つて下さい」
お供で行つた鳶頭かしらにおだてられて、草鞋わらぢをはいたついでに、路用もふんだんにあることだし、親の骨を高野山に納めたら、讃岐さぬき金毘羅こんぴら樣に廻つて、嚴島いつくしまにお詣りして、京、大阪を見物して
ところで、阿波屋の一行、主人夫婦に娘お由利、手代の宗次郎、鳶頭かしらの銀次に、手代りを加へて人足四人の同勢、春徳寺に着いた時は、出迎へに出たのは、水も垂れさうな寺小姓が一人。
銭形平次捕物控:239 群盗 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
三間にあふれる男女は、一齋に平次の方を振り返りました。深川の御用聞尾張屋の專吉をつれて來ると言つて飛び出した鳶頭かしらが、名高い錢形の平次をつれて來たのを見て、一同ホツとした樣子です。
三間にあふれる男女は、一斉に平次の方をふり返りました。深川の御用聞尾張屋の専吉をつれて来ると言って飛び出した鳶頭かしらが、名高い銭形の平次をつれて来たのを見て、一同ホッとした様子です。
先祖の菩提寺なる春徳寺改築のために、祠堂金しどうきん三千両を寄進することになり、その日出入の鳶頭かしらが宰領で、人足にかつがせた吊台に、三つの千両箱を積み、阿波屋三郎兵衛夫婦が、娘お由利と共に
銭形平次捕物控:239 群盗 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
鳶頭かしらは年を取つて、啖呵たんかは切れるが腰が切れねえ、——人立ちはする、娘は泣き出す、どうなるか思つたところへ、あの椿三千麿といふ、良い男の若侍が飛び出し、五人のやくざを手玉に取つて
「主人の總兵衞は去年の春死んで、伜の總太郎は死んだ父親が夢枕に立つたとやらで、町内の鳶頭かしらを供に、親の骨を背負つて遙々紀州は高野山へ行きましたよ。不氣味なことはその留守に起つたんで」
「なるほど、そいつは鳶頭かしらの畠じゃねえ」
飛込んで来たのは、横山町の鳶頭かしらです。
「成程、そいつは鳶頭かしらの畠ぢやねえ」
「何んだ。新堀しんぼり鳶頭かしらぢやないか」
「なんだ。新堀しんぼり鳶頭かしらじゃないか」
「どうした、鳶頭かしら