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たらふく
ふりがな文庫
“
鱈腹
(
たらふく
)” の例文
ずうずうしい彼は、ひとの振舞い酒を遠慮なしに
鱈腹
(
たらふく
)
飲んで、もういい心持に酔った頃に、かれを誘った旅の男は小声で云った。
半七捕物帳:14 山祝いの夜
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
羽州山はまた泣き出しさうな顔をして、その
金包
(
かねづつみ
)
を受取つた。そして栃木の出世にあやかるやうにと言つて、
鱈腹
(
たらふく
)
飲んだり、食つたりした。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「わッははは。軍師が違うわ。うしろ楯におつき遊ばす軍師がお違い申すわ。夜食に
芋粥
(
いもがゆ
)
でも
鱈腹
(
たらふく
)
すすって、せいぜい寝言でも
吐
(
つ
)
かッしゃい」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
大立廻りをするうち
件
(
くだん
)
の名馬城将に殺されベヴィスまた城将を殺し、その妻が持ち出す膳をその妻に毒味せしめて後
鱈腹
(
たらふく
)
吃
(
く
)
うて去ったという。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「明日は
鱈腹
(
たらふく
)
飯を食って、お母さんとこへ帰ってきゃいいよ。なア、おい、中野の駅まで行けば道が判るのかい?」
泣虫小僧
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
真物
(
ほんもの
)
の聟は陽が暮れるとすぐここに来ているが、
肝腎
(
かんじん
)
の嫁の支度が出来ない。三三九度はいずれ
一刻
(
いっとき
)
も後のことだろう、その時はお客様で
鱈腹
(
たらふく
)
呑むがいい
銭形平次捕物控:100 ガラッ八祝言
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いけホイドして、ガツガツまくらうな。仕事もろくに出来ない日に、飯ば
鱈腹
(
たらふく
)
食われてたまるもんか」
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
そこで智深は、
宵
(
よい
)
のまに、花嫁の部屋に隠れこみ、そこの
帳
(
ちょう
)
を垂れて、寝台に横たわった。もちろん彼にも
饗膳
(
きょうぜん
)
と酒が供されたので、
鱈腹
(
たらふく
)
たべて、寝こんでいる……。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さあさあ
鱈腹
(
たらふく
)
食べるがよい。毒など決してはいってはいまい。——立派な人傑と噂には聞いたが、御嶽冠者は噂以上の素晴らしい人物であったわい。……奥底の知れぬ人物じゃ。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その次には安洋食店に這入って酒を飲みながら
鱈腹
(
たらふく
)
詰め込んだ。その払い残り五円で花束を買って、往来の靴
繕
(
つくろ
)
いを見付けて靴を磨かせた。最後に活版屋へ行って名刺を受取った。
黒白ストーリー
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
先刻
(
さっき
)
、君は私の手料理になる
栄螺
(
さざえ
)
を、
鱈腹
(
たらふく
)
喰
(
た
)
べてくれたね。ことに君は、×××××、
箸
(
はし
)
の
尖端
(
さき
)
に摘みあげて、こいつは
甘味
(
うまい
)
といって、嬉しそうに食べたことを覚えているだろうね。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そう言う丸万は上海でさぞかし豪遊な支那料理を
鱈腹
(
たらふく
)
食っていると見え、丸々と肥っていた。丸万という姓がまるで
渾名
(
あだな
)
であるかのように、まんまるくなって、自然と口調も悠長に
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
いろんな物をコッヘルであたためては
鱈腹
(
たらふく
)
たべたので、持ってきたものを全部着た上、足は靴をはいたままルックザックの中に入れ、頭を奥にして二人は互いに押し合いながら横になった。
単独行
(新字新仮名)
/
加藤文太郎
(著)
鱈腹
(
たらふく
)
くいたい方でしてな。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
すると、夜になつて
家中
(
うちぢゆう
)
の鼠がこそ/\這ひ出して来て、
鱈腹
(
たらふく
)
それを食べるが、籾二斗で
恰度
(
ちやうど
)
一年分の餌に足りるさうだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「その晩
鱈腹
(
たらふく
)
呑んで、
亥刻半
(
よつはん
)
(十一時)頃飯田町の家へ歸るところを、神樂坂の路地の中でやられたんで。こいつは因縁事ぢやありませんか。ね、親分」
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こっちにも弱味があるから、どうすることもできない。結局、品川の子分のところへ預けられて、
鱈腹
(
たらふく
)
飲んで食って遊んでいる。さすがの海賊もこんな奴に逢ったのが因果です。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
坊主が自分の好く物を
鱈腹
(
たらふく
)
頬張って得脱させやったと称えた例は、本邦またこれある。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
神田鍛冶町の
今金
(
いまきん
)
で
鱈腹
(
たらふく
)
軍鶏
(
しゃも
)
を食ったのが脱獄後最初の馳走であった。
国事犯の行方:―破獄の志士赤井景韶―
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
戦捷
(
せんしょう
)
の兵は
驕
(
おご
)
りやすいものである。
鱈腹
(
たらふく
)
食べ酔って
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
祥雲氏はその晩
鱈腹
(
たらふく
)
牛肉と松茸とを食つて寝床に入つた。すると、
夜半
(
よなか
)
過ぎから急に腹が痛み出して、溜らなくなつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「その晩
鱈腹
(
たらふく
)
呑んで、
亥刻
(
よつ
)
半(十一時)頃飯田町の家へ帰るところを、神楽坂の路地の中でやられたんで。こいつは因縁事じゃありませんか。ね、親分」
銭形平次捕物控:106 懐ろ鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
住職は一杯も飲まなかったが、二人は
鱈腹
(
たらふく
)
に飲んで食った。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
若い会員の学生は、安い会費で
鱈腹
(
たらふく
)
呑めるし、古い連中は懐旧談がたのしめるので、毎回、大入り満員であった。
胡堂百話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
美味
(
うま
)
い果物を
鱈腹
(
たらふく
)
食つて
女買
(
をんなかひ
)
をしたところで、それを
喧
(
やかま
)
しくいふ印度の神様でもないが、ヅリヤンが余り美味いのでつい財布の底を叩くやうな始末になるのだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
空茶
(
からちや
)
を
鱈腹
(
たらふく
)
呑んで、無精煙草を輪に吹いて、
安唐紙
(
やすからかみ
)
の模樣を勘定し乍ら、解き切れなかつた幾つかの難事件を
反芻
(
はんすう
)
し、人と人との愛慾の
葛藤
(
かつとう
)
の恐ろしさに
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
那地
(
あつち
)
へ着いたら松魚のうまいのを
鱈腹
(
たらふく
)
食はせるぞ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「なアに、大した事はありませんよ。両国でさんざん泳いだ上、
西瓜
(
すいか
)
を
鱈腹
(
たらふく
)
やったんで」
銭形平次捕物控:097 許嫁の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「なアに、大した事はありませんよ。兩國で散々
泳
(
およ
)
いだ上、
西瓜
(
すゐくわ
)
を
鱈腹
(
たらふく
)
やつたんで」
銭形平次捕物控:097 許婚の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
三々九度はいづれ一刻も後のことだらう、その時はお客樣で
鱈腹
(
たらふく
)
呑
(
の
)
むが宜い
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「宜いつてことよ、飯なら昨夜も
鱈腹
(
たらふく
)
詰め込んだ筈だ。——
斯
(
こ
)
んなことは、人一人の命に
拘
(
かゝ
)
はることだから、放つちや置けねえ。それにお仙といふ新造は、お前の幼な友達だといふぢやないか」
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鱈
漢検準1級
部首:⿂
22画
腹
常用漢字
小6
部首:⾁
13画
“鱈”で始まる語句
鱈
鱈子
鱈場
鱈捕
鱈籠
鱈昆布