)” の例文
食われて蟹が嬉しがりそうな別嬪べっぴんではありませんが、何しろ、毎日のように、昼ばたごから——この旅宿やどの料理番に直接じか談判で蟹をります。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「うむ、毎日つてるが、今日でもう卅も食つたかな。お蔭で顔もこんなに若くなり泥的もすつかり巧くなつたよ。」
グイと、横にくわえた鮒焼のくしで、ムシャムシャったあとの歯をせせりながら、毒々しいことばづかい。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何だかこれを一つって見よう……婆さん灯火あかりを早く此処へ持って来て……何だ奈良漬の香物こうこか、これは妙だ、奈良漬の焼魚代やきものがわりは不思議、ずーッと並べたのはいな
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「お前何か食ひ度いものはないか」とか、「さうか、よし/\お前がすきなものなららう/\」
長い木串に団子を突きさしてはりはじめたもんで。するてえと、不意に何処からともしれず、とんと素性も分らねえ男が入つて来て、お相伴にあづかりたいといふんでさ。
「遠慮せんと、ってや」
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
「うむ、雛児ひよつこばかりつてるのさ。」と俳優やくしや可愛かあいらしい口元をして言つた。「君も知つてるだらうが、今度のしばゐに僕の持役は、そら泥的どろてきと来てるだらう。 ...
るがい。よく冷えてら。たまらねえや。だが、あれだよ、みんな、渡してある小遣こづかい各々めいめいもちだよ——西瓜すいかかったらこみで行きねえ、中は赤いぜ、うけ合だ。……えヘッヘッ。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「春三郎、昨日の料理は旨かつた。流石東京ぢや。今日も一つ何處かでらうか」
『片岡、弁当をろうじゃないか』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
淺草あさくさでも、銀座ぎんざでも、上野うへのでも——ひと往來ゆききみせかまへ、千状萬態せんじやうばんたい一卷ひとまき道中だうちう織込おりこんで——また内證ないしようだが——大福だいふくか、金鍔きんつばを、かねたもとしのばせたのを、ひよいとる、早業はやわざ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)