-
トップ
>
-
顱卷
>
-
はちまき
これを
二碗と
傾けた
鄰家の
辻井さんは
向う
顱卷膚脱ぎの
元氣に
成つて、「さあ、こい、もう
一度搖つて
見ろ。」と
胸を
叩いた。
加之、
酒は
近所の
灘屋か、
銀座の
顱卷を
取寄せて、と
云ふ
會員一同の
強請。
考へてご
覽なさい、九九九で
間に
合ひますか。
顱卷をはづして、こゝで、
生白い
素裸になつて、
入つて
泳がないばかりに、
足の
爪先まで
綺麗に
拭いた。
かう
何うも、
番ごと、どしんと、
駭ろかされて、
一々びく/\して
居たんでは
行り
切れない。さあ、もつて
來い、
何でも、と
向う
顱卷をした
所で、
馬の
前へは
立たれはしない。
恐ろしいより、
夢と
知れて、
嬉しさが
前に
立つた。
暫時茫然として
居たが、
膚脱ぎに
成つて
大汗をしつとり
拭いた、
其の
手拭で
向う
顱卷をうんと
緊めて、
氣を
確乎と
持直して、すた/\と
歩行出す。
恐しいよりも、
夢と
知れて
嬉しさが
前に
立つた。
暫時茫然として
居た。が、
膚脱ぎに
成つて
冷汗をしつとり
拭いた。
其の
手拭を
向う
顱卷、うんと
緊めて
氣を
確乎と
持直して、すた/\と
歩行出した。