トップ
>
顫
>
わなな
ふりがな文庫
“
顫
(
わなな
)” の例文
掌
(
て
)
を合せて、拝むまねをした。天狗さま天狗さまを、
呪文
(
じゅもん
)
のように繰返して唱えながら、一人一人の影を拝んで、恐れ
顫
(
わなな
)
く振りをした。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らが
喉
(
のんど
)
に氷を与えて苦寒に怖れ
顫
(
わなな
)
かしめよ、彼らが胆に針を与えて秘密の痛みに堪えざらしめよ、彼らが
眼前
(
めさき
)
に彼らが
生
(
な
)
したる
多数
(
おおく
)
の
奢侈
(
しゃし
)
の子孫を殺して、
玩物
(
がんぶつ
)
の念を
嗟歎
(
さたん
)
の灰の河に埋めよ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
風のぬるみに
顫
(
わなな
)
きて
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
権十の
愕
(
おどろ
)
きは、最初の驚きの比ではなかった。歯の根も、体も
顫
(
わなな
)
くばかりで、勿論、それに対して、否とも応とも、返辞などはできなかった。
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その指先も、その
朱
(
あか
)
い数珠も、かすかに
顫
(
わなな
)
いているので、武蔵はこの尼さんがなにをそんなに恐怖しているのかを怪しんだ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
主計頭が、調書をそれへさし出すと、老人は、
顫
(
わなな
)
く手に取り上げて、それを、最初の第一項から、血走ッた眼で読み始めた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
母子
(
おやこ
)
、ひしと抱き合っているので、一つの大きな
繭
(
まゆ
)
のように見えた。
静
(
しずか
)
のふところに
顫
(
わなな
)
いているのは老母だった。
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてもし、それに逆らえば、桃花村は一夜に焼き払われるか、みなごろしの目に遭うであろうと
顫
(
わなな
)
くのだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
二将は
唖然
(
あぜん
)
とした。いや哀しみ
顫
(
わなな
)
いた。——敵は実数四十万という大軍、わずか二千騎でどうして喰い止められよう。死にに行けというのと同じであると思った。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
郁次郎は
顫
(
わなな
)
きながら彼女の中指の爪を見つめた。その爪は、烏の
嘴
(
くちばし
)
のように、黒い艶をもっている。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
青眉のあとを
顫
(
わなな
)
かせて、今朝奈良を立つことは、
生命
(
いのち
)
をすてに立つようなものであるから、二階へかくれて、夜を待って、抜け出したほうがよいと、こうしている間も
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ唇が
顫
(
わなな
)
いてしまうだけで、よけいに胸はつまり涙は眼をふさいで、もし、武蔵もそこにいない桜月夜の下でもあるならば、わッ……と大声あげて、
嬰児
(
あかご
)
のように泣き
転
(
まろ
)
び
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その唇は白髯につつまれながらやや
顫
(
わなな
)
いているかに見えた。——けれど相変らず慈愛にみちている眼は、格外の脇に組み敷かれている庖丁人の男の顔を、
傷
(
いた
)
ましげに見つめながら
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それともまた、その茶わん屋にわしが
丁稚奉公
(
でっちぼうこう
)
していたあいだ、主人の息子であったその方が、事ごとに、幼いわしを
虐
(
いじ
)
めたから、その仕返しを受けはせぬかと、それを恐れて
顫
(
わなな
)
いておるのか。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
逆手
(
さかて
)
につかんでいる脇差のつばが、がたがたと
顫
(
わなな
)
いて、
板縁
(
いたえん
)
に鳴った。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
糜芳は喪心したように、蒼白になって
顫
(
わなな
)
いていたが、やがて
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蘭丸は手をついて、
顫
(
わなな
)
きながら、主君の
唇
(
くち
)
もとを見つめた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
露八が、呟くと、
艫
(
とも
)
の蔭で
顫
(
わなな
)
きながら、船頭が云った。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
主君の命と聞いただけに、
顫
(
わなな
)
いて答えるのだった。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それだけに、わしは身の恐ろしさに
顫
(
わなな
)
く。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「玄徳か……」と、舌をつらせて
顫
(
わなな
)
いた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
微
(
かす
)
かに
顫
(
わなな
)
いていたように見られました
日本名婦伝:大楠公夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お杉のただ事でない
顫
(
わなな
)
き
声
(
ごえ
)
に
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勝家の
拳
(
こぶし
)
は膝に
顫
(
わなな
)
いている。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
顫
(
わなな
)
きながら
披露
(
ひろう
)
した。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
顫
漢検1級
部首:⾴
22画
“顫”を含む語句
顫音
身顫
胴顫
顫声
顫律
顫動
微顫
顫上
武者顫
打顫
血顫
震顫
顫慄
顫震音
顫着
顫出
顫聲
顫震
顫音符
顫戦
...