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ほおげた
ふりがな文庫
“
頬桁
(
ほおげた
)” の例文
その朝、態度がけしからんと云って、一青年の
頬桁
(
ほおげた
)
を張り飛ばした教官は、何かまだ弾む気持を持てあましているようであった。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
何かのはずみで、わしの
頬桁
(
ほおげた
)
を、それもあれの面前で、なぐりつけやがったのだ、すると、あの牝羊みたいな女が、この頬桁一件のために
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
頬桁
(
ほおげた
)
へ両手をぴったり、慌てて目金の柄を、鼻筋へ
揉込
(
もみこ
)
むと、
睫毛
(
まつげ
)
を
圧
(
おさ
)
え込んで、驚いて、指の尖を
潜
(
くぐ
)
らして、
瞼
(
まぶた
)
を
擦
(
こす
)
って
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「フーム。そんな下等な奴だったのかい、アイツは……そんならモット
手非道
(
てひど
)
く
頬桁
(
ほおげた
)
をブチ壊してやれあよかった」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
姿は見えないがひどく
詰
(
なじ
)
られながら、
頬桁
(
ほおげた
)
でも二つ三つ張り飛ばされているらしい。間もなく許されて出るや、彼は息せき切って飛んで来ながら叫んだ。
親方コブセ
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
▼ もっと見る
金蔵破りのほうはいっさい心配はいらぬと
大仰
(
おおぎょう
)
な
頬桁
(
ほおげた
)
をたたいておったのを、わしはたしかにこの耳で聞いたぞ。
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「このしりがるのすべたども」女たちなら赤鬼はそう云う、「おとこの匂いにのぼせあがって
頬桁
(
ほおげた
)
ばかり叩いていると、大川へ突っこんでけつを洗わせるぞ」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
越後屋の番頭の五郎次は、したたか浅吉に
頬桁
(
ほおげた
)
を殴られて、キョトンとして両掌を挙げました。
銭形平次捕物控:111 火遁の術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それは、お駒ちゃんが、火のような自分の感情の中で、磯五の
頬桁
(
ほおげた
)
へ手を飛ばしたのだった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「
獣
(
けだもの
)
め、口先
計
(
ばかり
)
達者で、
腕力
(
ちから
)
も無けりゃ智慧もねエ、
様
(
ざま
)
ア見やがれ、オイ、閻魔ッ、今
頬桁
(
ほおげた
)
叩きやがった餓鬼共ア、グズグズ言わさず——見せしめの為だ——早速片付ちまいねエ」
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
お島は血走ったような目一杯に、涙をためて、肉厚な自分の
頬桁
(
ほおげた
)
を、厚い平手で打返さないではおかない小野田に
喰
(
く
)
ってかかった。猛烈な立ちまわりが、二人のあいだに始まった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
彼は手をあげて鋸屋の
頬桁
(
ほおげた
)
をなぐりつけた。足をあげてその腰骨を蹴りつけた。何か大ごえに
喚
(
わめ
)
いていた。前後を考える余裕もない。ただただ、目をさましてくれろと願ったのだ。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
無気味
(
ぶきび
)
にゲタと笑いかけて其儘固まって了ったらしい
頬桁
(
ほおげた
)
の、その厭らしさ浅ましさ。随分
髑髏
(
されこうべ
)
を扱って人頭の標本を製した覚もあるおれではあるが、ついぞ
此様
(
こん
)
なのに出逢ったことがない。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
と同時に、閑子の立場にも立たねばならない。しかし自分が閑子だったら……。はげしい思いが胸にたぎる。あのときミネは、思うさま悠吉の
頬桁
(
ほおげた
)
をひっぱたいた。ぱんぱんとはげしく頬が鳴った。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「………」自分の拳固が彼女の
頬桁
(
ほおげた
)
に飛んだ。……
死児を産む
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
刑事の右手が飛んで為吉の
頬桁
(
ほおげた
)
を打った。
上海された男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
しぶきが
頬桁
(
ほおげた
)
を
撲
(
なぐ
)
り、水が手足を
捩
(
も
)
ぎとろうとする、刻々に苦しくなってゆく波に、ふと
仄明
(
ほのあか
)
りに
漾
(
ただよ
)
っているボートが映る。
火の唇
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
だって
何程
(
いつかばち
)
のこともあるめえ。と落着く八蔵。得三は
頭
(
こうべ
)
を振り、いや、
他
(
ほか
)
の奴と違う。ありゃお前、倉瀬泰助というて有名な探偵だ。見ろ、あの
頬桁
(
ほおげた
)
の
創
(
きず
)
の
痕
(
あと
)
を。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ついでイワン・フョードロヴィッチとアリョーシャのめんどうを見た、そのおかげで
頬桁
(
ほおげた
)
を一つ見舞われたような始末だが、しかしこんなことは皆、もう前に話しておいた。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
銭形平次は立ち上がると、いきなり平手で銅六の
頬桁
(
ほおげた
)
を一つ喰らわせたのです。「平次が縄付きを
撲
(
う
)
つ——」こんな事があり得るでしょうか、ガラッ八は眼の前で行われた奇蹟に仰天するばかりです。
銭形平次捕物控:055 路地の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その
頬桁
(
ほおげた
)
、忘れるな、行くぞ‼」
武道宵節句
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ははははおもしろい、
汝
(
うぬ
)
! 嫌われて何がおもしろい。畜生、」と自ら
嘲
(
あざけ
)
って、
嚔
(
くさみ
)
を仕損ったように眉を
顰
(
ひそ
)
め、口をゆがめて
頬桁
(
ほおげた
)
をびっしゃり平手でくらわし
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『そうら、ここからだ!』とどなりざま、猛烈に教え子の
頬桁
(
ほおげた
)
をなぐりつけた。子供は黙ってその折檻をこらえていたが、またもや幾日かのあいだ隅っこへ引っこんでしまった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
振り返った鉄の
拳
(
こぶし
)
が、思い切りガラッ八の
頬桁
(
ほおげた
)
に鳴ります。
銭形平次捕物控:098 紅筆願文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
頬
部首:⾴
15画
桁
常用漢字
中学
部首:⽊
10画
“頬”で始まる語句
頬
頬杖
頬冠
頬張
頬被
頬辺
頬骨
頬白
頬髯
頬笑