ぐわん)” の例文
併し周三は、實に厄介やくかいきはまるせがれであツた。奈何なる威壓ゐあつを加へてもぐわんとして動かなかツた。威壓を加へれば加へるほど反抗はんかうの度をたかめて來た。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
童謠どうえうは(おう)がはじめてきたりしやゝ以前いぜんより、何處いづこよりつたへたりともらず流行りうかうせるものにして、爾來じらい父母※兄ふぼしけいだましつ、すかしつせいすれども、ぐわんとしてすこしもかざりき。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
孫三郎はぐわんとして聽き入れません。日頃の交際で、傳七郎の正直さをこと/″\く信じ切つて居る爲でせう。
で、武芝は返還をせまると、かへつて干戈かんくわそなへをしてぐわんとして聴かず、暴を以て傲つた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
其所そこあらためて、親分おやぶん談判だんぱんこゝろみたが、ぐわんとしておうじない。
幾千年いくちとせぐわんたり崿がくたり
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
が、お仲もぐわんとしてそれに屈しなかつたばかりでなく、又も大變なことを言ひ出したのです。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
始のほどは高利かうりの金を貸し付けて暴利ぼうりむさぼり、作事こしらへごとかまへて他をおとしいれ、出ては訴訟沙汰そしようさたツては俗事談判ぞくじだんはんゆる間も無き中に立ツて、ぐわんとして、たゞ其の懐中くわいちうこやすことのみ汲々きふ/\としてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
何も彼も事實を知つてゐる筈の小間使ひの比奈ひなは、どう責め問はれてもぐわんとして口を割らず、平次もさすがに持て餘して、主人の旗野丹後守と用人の久保木桂馬に一切の事情を打ち明け
萬七はぐわんとしてお蔦に疑ひを釘付けにするのでした。
母親のお槇は、ぐわんとして關所を据ゑるのです。
元町の文七はぐわんとして聽入れません。
萬七はぐわんとして讓りません。