雨水あまみず)” の例文
達吉たつきち伯父おじさんは、あたらしくつくってきた、ぴかぴかひかるブリキのといをのきしたててみて、雨水あまみずながれる勾配こうばいはかっていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、雨水あまみずと泥で汚れた用箋の切端きれはしだったが、それには黒インクで、次のような独逸ドイツ文がしたためられてあった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
キンチャコフは、このときとばかりに、顔のうえを流れおちる雨水あまみずを、長い舌でべろべろめまわしている。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雨水あまみずがはいらないようにしたり、よけもつくり、ねこ用心ようじんで、金網かなあみもあつたほうがいいつてこと、注意ちゅういしておいてやつたんですが、どうしました、あの金魚きんぎょは、まだ元気げんきですか
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
この出された種子は、その巣の辺で発芽はつがするか、あるいは雨水あまみずに流され、あるいは風に飛んで、その落ちつく先で発芽する。かくてそのスミレがそこここに繁殖はんしょくすることになる。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
けれども立ったなりじっと彼の様子を見守らずにはいられなかった。彼は立木たちき根方ねがたえつけた石の手水鉢ちょうずばちの中に首を突き込んで、そこにたまっている雨水あまみずをぴちゃぴちゃ飲んでいた。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
のきといはここ十ねんあいだ、一えたことがないのであろう。たけ節々ふしぶし青苔あおこけあがって、そのからちる雨水あまみず砂時計すなどけいすなもりをちるのとおなじに、なくみみうばった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)