階子壇はしごだん)” の例文
すぐに分った、店口を入る、茶のと正面の階子壇はしごだんの下に、炭火のかッと起った台十能だいじゅうを片手に、立っていたのがすなわち内儀で。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此處こゝではへないぞ。」とこゝろさけんだ、たかいのに、べつ階子壇はしごだんふほどのものもし、廊下らうか一𢌞ひとまはりして、むかうへりるあたりが、なりな勾配こうばい
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
二階の階子壇はしごだん一番上いっちうえの一壇目……と思う処へ、欄間らんまの柱を真黒に、くッきりとそらにして、袖を欄干てすりれに……その時は、濃いお納戸と、薄い茶と、左右に両方
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二階にかい階子壇はしごだん一番いつちうへ一壇目いちだんめ……とおもところへ、欄間らんまはしら眞黒まつくろに、くツきりとそらにして、そで欄干摺てすりずれに……ときは、いお納戸なんどと、うすちやと、左右さいう兩方りやうはう
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
嬰兒あかんぼてのひらかたちして、ふちのめくれたあないた——あなから、くだん板敷いたじきを、むかうの反古張ほごばり古壁ふるかべ突當つきあたつて、ぎりゝとまがつて、直角ちよくかく菎蒻色こんにやくいろ干乾ひからびた階子壇はしごだん……とをばかり
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
門の小橋をまたぎかけて、あッと言った、赤い鼠! と、あ、と声を内へ引いて遁込んで、けたたましい足音で、階子壇はしごだんを駆上がると、あれえあれえと二階を飛廻って欄干へ出た。
半島一奇抄 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いま私たちが寄凭よりかかるばかりにしている、この欄干が、まわりにぐるりと板敷を取って、階子壇はしごだんを長方形の大穴に抜いて、押廻わして、しかも新しく切立っているので、はじめから
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
主税は心もやみだったろう、覚束おぼつかなげな足取で、階子壇はしごだんをみしみしと下りて来て、もっとも、先生と夫人が居らるる、八畳の書斎から、一室ひとま越し袋の口を開いたようなあかりすが、下は長六畳で
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)