鏖殺みなごろし)” の例文
「その怪談が大變なんで、一と月も前から成瀬屋の一家を鏖殺みなごろしにするといふ蝙蝠冠兵衞の手紙が三本も來てゐるぢやありませんか」
「待っていた、そうだろう。その何だ、ハイカラな叔母なんぞを血祭りに、家中鏖殺みなごろしに願いたい。ついでにお父さんの中気だけ治してな。」
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
少くとも自分等全軍を鏖殺みなごろしにすることの出来るく能く十二分の見込が立た無くては敢てせぬことであると多寡をくくって
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
かれ起上おきあがつて聲限こゑかぎりにさけび、さうしてこゝより拔出ぬけいでて、ニキタを眞先まつさきに、ハヾトフ、會計くわいけい代診だいしん鏖殺みなごろしにして、自分じぶんつゞいて自殺じさつしてしまはうとおもふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
いま無上むじやう愉快ゆくわいときだぞ、いま一層いつそうのぞみには、あらたきたへたこの速射砲そくしやほうで、彼奴等きやつらつくき海賊かいぞくども鏖殺みなごろしにしてれんに。
そしてとうとう土人どもを全く屈服させたあげく、袁更生の一団をボルネオ島の北の端れへ息もかせず追いかけて行って、そこで鏖殺みなごろしにしたそうである。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ここにおいて羅摩自ら総兵に将として、往き伐ち、また敗れて士卒鏖殺みなごろしと来た。処へ二児の養育者ヴァルミキ仙来って、惻隠の情に堪えず、呪言を唱えてことごとく蘇生せしむ。
城兵は、炎煙にまぎれて突出し、到る処で、寄手の軽兵のうしろへ廻り、箇々に包囲して、鏖殺みなごろしにするの策に出た。また市倉や民家をたてとして、鉄砲で狙撃そげきする。これも寄手を悩ました。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
最後に、戸が破れた時には、鏖殺みなごろしの狂猛な蛮行が演ぜられた。襲撃者らはこわされてゆかに投げ出された戸の板に足を取られながら、居酒屋の中に突入したが、そこにはひとりの敵もいなかった。
あの乱暴者は伯父様や植田様まで鏖殺みなごろしにし、三輪の町を焼き亡ぼすと言っているのでございます……竜之助様、どうぞ、人のために忍びきれない恥を忍んでいる私をかわいそうだと思って下さいまし
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
田代屋一家鏖殺みなごろしに使った毒は、町の生薬屋で売るような品でないとすれば、あるいはその百樽の毒薬から取出したものかも知れぬ
かれ起上おきあがって声限こえかぎりにさけび、そうしてここより抜出ぬけいでて、ニキタを真先まっさきに、ハバトフ、会計かいけい代診だいしん鏖殺みなごろしにして、自分じぶんつづいて自殺じさつしてしまおうとおもうた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「やあ手前達邪魔が入った、邪魔な奴から退治やっつけて、民弥をこっちへ取り返せ! 多少の腕はあるらしいが、人数は四人だ、知れたものだ、おっ取り囲んで鏖殺みなごろしにしろ!」
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
此方こなたつよければそのぞくども鏖殺みなごろしにすること出來できるのである。
田代屋一家鏖殺みなごろしに使つた毒は、町の生藥屋で賣るやうな品でないとすれば、或ひはその百樽の毒藥から取出したものかも知れぬ
「やっつけてしまえ、背後うしろから! 鏖殺みなごろしにしろ! 三ピンを!」
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鏖殺みなごろしにしようという曲者ですから、一筋縄では行きません、もう一刻経てばこの家にいる曲者と、外にいる仲間と、一ぺんに縛る手筈てはずが出来ております
江戸の武家町人を鏖殺みなごろしにしないまでも江戸中の大騷ぎを起させる目論見のところ、丸橋忠彌の召捕から一味悉くお處刑になつて、毒藥はお上の手に召上げられ
江戸の武家町人を鏖殺みなごろしにしないまでも江戸中の大騒ぎを起させる目論見もくろみのところ、丸橋忠弥の召捕から一味ことごとく処刑おしおきになって、毒薬はお上の手に召上げられ
「落着いて居ちやいけねえ、田代屋の人間が鏖殺みなごろしにされたんですぜ」