あし)” の例文
新字:
祖母おばあさんがほほつゝんでくださるあつ握飯おむすびにほひでもいだはうが、おあししてつたお菓子くわしより餘程よほどおいしくおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
味噌こし下げて端たのおあしを手に握つて米屋の門までは嬉しく驅けつけたれど、歸りには寒さの身にしみて手も足もかじかみたれば五六軒隔てし溝板の上の氷にすべり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「お光つあん、物は何んでも拵へるより潰す方が樂やいふけど、井戸ばツかりは掘るより埋める方が手間がかゝりますてな。在所の井戸はまだえゝが、町の井戸になると第一土がおまへんさかいな、埋めるのは掘るよりおあしがたんと要りますんやて。」
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
とうさんの幼少ちひさ時分じぶんには、おあしといふものをたせられませんでしたから、それがくせになつて、おあし子供こどもつものでないとおもつてましたし
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
味噌みそこしげてはしたのおあしにぎつて米屋こめやかどまではうれしくけつけたれど、かへりにはさむさのにしみてあしかじかみたれば五六軒ごろくけんへだてし溝板どぶいたうへこほりにすべり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『おあしを持ちながら遣るのかい。そこに置いたら可いぢやないか。私が見てるから大丈夫だ。』
うちからおあしもらつてつてなにふのは、むら祭禮おまつりときぐらゐのものでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)