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都人
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みやこびと
ふりがな文庫
“
都人
(
みやこびと
)” の例文
ふと、寝がえりを打つと、すぐ自分の鼻の先に、
撫子
(
なでしこ
)
に似た真っ赤な花が咲いていた。それは、
都人
(
みやこびと
)
の彼には、名も知れない花だった。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ぼくはこの地にかつて平安朝の無数の
都人
(
みやこびと
)
やら、白河、鳥羽の諸帝がいくたびも
行幸
(
みゆき
)
された世代の“昔の顔”を一つ見つけ出した。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし今兄を、東京の市中でも歩かせようものなら、浮薄な
都人
(
みやこびと
)
からはたちまち田舎ッペイとして、軽蔑されたり
顰蹙
(
ひんしゅく
)
されてしまうでしょう。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
犬の声があまりに激しいので、宵寝の
都人
(
みやこびと
)
も夢をおどろかされたらしい。路ばたの小さい
商人店
(
あきうどみせ
)
では細目に戸をあけた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夜明けの空は十二分に霞んで、山の鳥声がどこで
啼
(
な
)
くとなしに多く聞こえてきた。
都人
(
みやこびと
)
には名のわかりにくい木や草の花が多く咲き多く地に散っていた。
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
▼ もっと見る
が、
流人
(
るにん
)
とは云うものの、おれたちは皆
都人
(
みやこびと
)
じゃ。
辺土
(
へんど
)
の民はいつの世にも、都人と見れば頭を下げる。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
沢は、
駕籠
(
かご
)
に乗つて蔵屋に宿つた病人らしい其と言ひ、鍵屋に此の思ひがけない
都人
(
みやこびと
)
を見て、つい
聞知
(
ききし
)
らずに居た、此の山には
温泉
(
いでゆ
)
などあつて、それで逗留をして居るのであらう。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
よしや
深山
(
みやま
)
がくれでも
天眞
(
てんしん
)
の
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
は
都人
(
みやこびと
)
を
床
(
ゆか
)
しがらする
道理
(
だうり
)
なれば、
此
(
この
)
うへは
優美
(
ゆうび
)
の
性
(
せい
)
をやしなつて
徳
(
とく
)
をみがく
樣
(
やう
)
に
教
(
をし
)
へ給へ、
我
(
わ
)
れ
此地
(
このち
)
に
居
(
ゐ
)
たりとて
根
(
ね
)
からさつぱり
談合
(
だんかう
)
の
膝
(
ひざ
)
にも
成
(
な
)
るまじきが
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
じめなれば
偖
(
さて
)
こそ
都人
(
みやこびと
)
の目に珍しく賞したるならん東より西を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
着
(
き
)
つゝなれし
菖蒲重
(
しょうぶがさね
)
や
都人
(
みやこびと
)
朧月堂
(
ろうげつどう
)
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
ゆるさせたまへ
都人
(
みやこびと
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
都人
(
みやこびと
)
の風習は、上下一般に、早婚だった。男は十二、三歳から十五、六歳までに、女は九歳から十二、三歳といえばもう嫁いだ。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
都人
(
みやこびと
)
の顔の好みが、
唐土
(
もろこし
)
になずんでいる
証拠
(
しょうこ
)
ではないか? すると
人皇
(
にんおう
)
何代かの
後
(
のち
)
には、
碧眼
(
へきがん
)
の
胡人
(
えびす
)
の女の顔にも、うつつをぬかす時がないとは云われぬ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ひとり執権幕下にその傾きがあるだけでなく、高時の行状は、いちいち京方にも響いてゆくので、
都人
(
みやこびと
)
のあいだですら
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「だめだ、
都人
(
みやこびと
)
の
風
(
ふう
)
に
染
(
し
)
みたやつは。ひとりの甥など、
恃
(
たの
)
みにすることはない。よし、おれひとりでも、果してみせる」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さすがに、お上人様は、やはり
都人
(
みやこびと
)
でござらっしゃる」と、並んでいる百姓たちは、皆田植笠の下から笑った。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど、この時代の曠野の人間は——いや、たしなみある
都人
(
みやこびと
)
の間でも、喜怒哀楽の感情を正直にあらわすことは、すこしもその人間の価値をさまたげなかった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
煙村の
少女
(
おとめ
)
、
温泉
(
いでゆ
)
の
湯女
(
ゆな
)
、物売りの女など、かえって、
都人
(
みやこびと
)
のすきごころを
疼
(
うず
)
かせたことでもあろう。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一人としてそれらの
都人
(
みやこびと
)
の好みに
適
(
かな
)
うものはいない。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“都人”の意味
《名詞》
都でくらす人。
都会でくらす人。
(出典:Wiktionary)
都
常用漢字
小3
部首:⾢
11画
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
“都人”で始まる語句
都人士
都人士等