遠見とほみ)” の例文
繰出さる天一坊かたには山内伊賀亮がはからひにてしのびを入れ此樣子を承知して遠見とほみを出し置雅樂頭殿出門しゆつもんあらば此方も出門に及ぶべしとこと/″\く夜の内に支度を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第一だいいちをんなどもが寄着よりつかない。おてうしが一二本いちにほん遠見とほみ傍示ばうじぐひのごと押立おつたつて、廣間ひろまはガランとしてごとし。まつになつた柳川やながはが、なるお羽織はおり……これが可笑をかしい。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雀飛ぶ屋根の遠見とほみ雪煙ゆきけぶりかすかにすは朝日のかげか
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
遠見とほみの松を光らしめ
敍情小曲 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
思ひ出すには閑靜しづかなる所がよきものなり因て見張みはりつけるによりあき長屋ながやいたとくと考へ見よとて同心に遠見とほみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すみ先生せんせいよろしく、と挨拶あいさつして、ひとり煢然けいぜんとしてたふげくだ後態うしろつきの、みづうみ広大くわうだい山毛欅ぶなたかし、遠見とほみ魯智深ろちしんたのが、かついくさやぶれて、よろひて、雑兵ざうひやうまぎれてちて宗任むねたふのあはれがあつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その隅に瞳の色の窓ひとつ、玻璃はり遠見とほみ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
遠見とほみの櫻を光らしめ
敍情小曲 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
出せし由さだめて屋形へも越前參るべしと思召遠見とほみを出すべしとの御意ぎよいにて則ち遠見の者をいだされけるに此者下馬先げばさきにて越前守伊豆守殿と同道どうだうにて小石川御屋形の方をさして來るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)