通行つうかう)” の例文
機械きかいとどろき勞働者ろうどうしや鼻唄はなうた工場こうばまへ通行つうかうするたびに、何時いつも耳にする響と聲だ。けつしておどろくこともなければ、不思議ふしぎとするにもらぬ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
……去年きよねんはるごろまでは、樹蔭こかげみちで、戸田街道とだかいだう表通おもてどほりへ土地とちひとたちも勝手かつて通行つうかうしたのだけれども、いまは橋際はしぎは木戸きど出來できて、くわん構内こうないつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小川町辺をがはまちへん御邸おやしきまへ通行つうかうすると、御門ごもん潜戸くゞりど西にしうち貼札はりふださがつてあつて、筆太ふでぶとに「此内このうち汁粉しるこあり」としたゝめてあり、ヒラリ/\と風であほつてつたから
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
置き番人は麻上下あさがみしもの者と下役は黒羽織くろはおりを着し者をつめさせ檀家だんかの者たりとも表門の通行つうかうきん裏門うらもんより出入させ墓場への參詣さんけいをば許せども本堂ほんだうへの參詣はかたく相成ざる由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まことみませぬがおとほしなすつてくださりまし、なるたけお昼寝ひるね邪魔じやまになりませぬやうにそツ通行つうかういたしまする。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おほせ付られ御助け下さるやうねがひ上げ奉りますとのぶれば武士一人のこりて夫は不便ふびんの事なり今に此所御通行つうかう相成時怖れずと委細に申上よと云ひければ兩人はよろこびて今やおそしと待居まちゐる處へ宿役人大勢おほぜい領主々々りやうしゆ/\の役人先を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)