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近間
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ちかま
ふりがな文庫
“
近間
(
ちかま
)” の例文
お蔭で素っ破抜きに始まった大喧嘩も流れて、
夥
(
おびただ
)
しい野次馬は、
蜘蛛
(
くも
)
の子を散らすように、
近間
(
ちかま
)
の店先に飛込んでしまいました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しめやかではあるが、わやわやしたなかなので、気分も悪いわたしは、
近間
(
ちかま
)
で話している、ほんの一つ二つの逸話しか耳に残らなかった。
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「ああいう荷厄介な生き物だ。遠いところまでブラブラと、さげて行くような気づかいはない。
近間
(
ちかま
)
に隠れているんだろう」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ある真夜なかの事、ジヤンは敵の偵察を言ひつかつて、独逸軍の塹壕から、
漸
(
やつ
)
と十
米突
(
メートル
)
ばかりの
近間
(
ちかま
)
まで
覗
(
うかゞ
)
ひ寄つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何しろ、
美
(
うつくし
)
い像だけは事実で。——俗間で、
濫
(
みだり
)
に扱うべきでないと、もっともな分別です。すぐに
近間
(
ちかま
)
の山寺へ——浜方一同から預ける事にしました。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
すると、四
方
(
ほう
)
から
小鳥
(
ことり
)
がそれを
聞
(
き
)
きつけ
集
(
あつ
)
まってきて、
近間
(
ちかま
)
の
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
に
止
(
と
)
まってその
笛
(
ふえ
)
を
自分
(
じぶん
)
らの
友
(
とも
)
だちだと
思
(
おも
)
っていっしょになってさえずっていました。
星の世界から
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
尤も元々頻繁に往復するのが目的で、こんな
近間
(
ちかま
)
へ越して来たのである。顔を合せると直ぐ
女婿
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
高橋上總は前に私の家に居たことあり、筑波の
近間
(
ちかま
)
では何村の誰が金持か位は知つてゐたので、出かけて來たのであらう。下總國沼森八幡の別當だつたが、素行はよくなかつた。
天狗塚
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
井戸端で顔を洗つたが、何となくはつきりしないので改めて
近間
(
ちかま
)
の銭湯へ出かけて、帰つて来ると食事の
仕度
(
したく
)
が出来てゐた。時子にお給仕して貰つてゐると、開け放された
襖
(
ふすま
)
の蔭から
曠日
(新字旧仮名)
/
佐佐木茂索
(著)
芳三に連れられて、砂川、追分と
近間
(
ちかま
)
の町を転々としてそして夕張にきた。岩見沢には芳三の父親がいたが、しかし今日、芳三に死なれたからと云って、頼って行く気にはなれなかった。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
霧島の噴煙ももっと晴れれば見えるとのことであったが、今日はそれまでは見えない。更に
近間
(
ちかま
)
の
宇土
(
うど
)
半島と並んで、熊本の
金峰
(
きんぶ
)
山が、その上半部を最も濃い桔梗色にぼかしているのが目につく。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
お蔭で素つ破拔きに始まつた大喧嘩も流れて、
夥
(
おびたゞ
)
しい彌次馬は、
蜘蛛
(
くも
)
の子を散らすやうに、
近間
(
ちかま
)
の店先に飛込んで了ひました。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
廂合
(
ひあわい
)
が
連
(
つらな
)
るばかり、
近間
(
ちかま
)
に一ツも
明
(
あかり
)
が見えぬ、陽気な座敷に、その窓ばかりが、はじめから妙に陰気で、
電燈
(
でんき
)
の光も、いくらかずつそこへ吸取られそうな
気勢
(
けはい
)
がしていた。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
芝居の裏通りや附近には、有名な役者たちが住み、
音曲
(
おんぎょく
)
の方の人たちも、その一角のなかかその
近間
(
ちかま
)
にいた。
櫓下芸妓
(
やぐらしたげいしゃ
)
もあるといったふうで、四囲の雰囲気は、すべてが歌舞伎国領土であった。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
永代
(
えいたい
)
へ行ったか両国へ行ったか、それとも
向島
(
むこうじま
)
へ遠っ走りをしたか見当がつかねえ、——ともかく、
近間
(
ちかま
)
の両国へ駆け付けて、幸い間に合ったからいいようなものの
銭形平次捕物控:075 巾着切りの娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
おお沢山な
赤蜻蛉
(
あかとんぼ
)
じゃ、このちらちらむらむらと
飛散
(
とびち
)
る処へ
薄日
(
うすび
)
の
射
(
さ
)
すのが、……あれから見ると、
近間
(
ちかま
)
ではあるが、もみじに雨の降るように、こう
薄
(
うっす
)
りと光ってな、夕日に
時雨
(
しぐれ
)
が来た
風情
(
ふぜい
)
じゃ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
夕貌
(
ゆうがお
)
の宿の仮寝の夜の、あの、源氏の君の頭もとに来て鳴いている
蟋蟀
(
こおろぎ
)
のことから、源氏ほどの人を、あの市井の中に連れて来て、
賤
(
しず
)
の生活の物音を
近間
(
ちかま
)
にきかせた手腕に驚いて、そういう意味で
紫式部:――忙しき目覚めに
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
八軒町の川越屋を見捨てて、柳原の知合という家に落着いたお崎のお染は、
近間
(
ちかま
)
に居るのを幸い、毎日平次を訪ねて、百松にかかる疑いを解くようにと頼み込むのでした。
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
近間
(
ちかま
)
にいる月見船が二三隻、この騒ぎに寄って来ましたが、無事に救い上げられた様子を見ると、この頃の町人は「
事勿
(
ことなか
)
れ主義」に徹底して、別段口をきく者もありません。
銭形平次捕物控:024 平次女難
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
近
常用漢字
小2
部首:⾡
7画
間
常用漢字
小2
部首:⾨
12画
“近”で始まる語句
近
近所
近江
近頃
近寄
近々
近習
近衛
近傍
近郷