身姿みなり)” の例文
重箱ぢうばこに入風呂敷ふろしきに包みて和吉に脊負せおはせて待間まつま程なく長三郎は身姿みなりを繕ひ部屋の中より立出たちいで來り兩親始め忠兵衞にも挨拶あいさつ成て和吉を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
武芸者としての改まった身姿みなりにもならないのは、道庵のせっかくの謀叛に、米友が不同意を唱えたわけではなく、小諸の城下を当ってみたけれども
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
『だが、大夫の普請場へ、身姿みなりを変えて、忍びこんでいるなどとは、こちらは、痛くもかゆくもないにせよ、不快な事だ、こいつを、生かしては置けぬぞ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きれいな直衣のうし薫香たきものの香のよくんだ衣服に重ねて、なおもそでをたきしめることを忘れずに整った身姿みなりのこの人が現われて来たころはもう日が暮れていた。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
それに外に悪い癖は有りませんけれど其お倉さんも大変な衣服蕩楽なりどうらくで藻西太郎さんの身代に釣あわぬほど立派な身姿みなりをして居ますから綺倆きりょうが一層引立ちます
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
沼田の鹽原角右衞門殿は同姓の交誼よしみで手前を藁の上から取上げて育てゝ八歳に成って返す時、礼として五十金を贈られ、拙者は其の五十金を持って身姿みなりを整え
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もし気をつけて垣の間からうかがっているならば、訪客は夜分やぶんにかぎり、そして年齢のころは皆、四十から下の比較的わかい男女であって、いずれも相当の身姿みなりをしていることが判ったであろう。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すると、そのうちの一番年寄りらしい身姿みなりをした雲雀がこう云いました。
オシャベリ姫 (新字新仮名) / 夢野久作かぐつちみどり(著)
夫ぢやアやつて下さるか如何いかに吾儕われがことをかまて見せようが此姿すがたでは如何どうかう詮方しかたがねへ付ては身姿みなりこせへるだけ金をば五兩貸てくれ。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
聞了きゝおわりて荻沢警部は少し考えそれでは誰が殺されたのか(紺)誰が殺されたかそれまでは認めませんが多分金起かと思います(荻)ハテ金起が—併し金起はの様な身姿みなり
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
わたくし此方こちらへ縁付いて参りましてから、毎夜々々荒々しいお身姿みなりでお出向でむきになりますが、どうしてのことか、余程深い御遺恨でもありますことか、果し合とやら云うようなお身姿でございますが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
諸国為替問屋、茶中ちゃちゅうの手で九千余両の為替に組直させ、百姓共に手厚い賃銀を取らせて追返すと、さっぱりと身姿みなりを改めて押しも押されもせぬ公家侍の旅姿となり、を日に次いで京都へと急いだ。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
と妙秀尼は二人のさばさばした身姿みなりをながめて、わけもなく喜ぶ。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これにてず目科の身の上に関する不審だけは全く晴れたり、彼れは盗坊どろぼうにもあらず追剥にも非ず純然たる探偵吏たんていりなり、探偵吏なればこそ其身持不規則なりしなれ、身姿みなり時々変ぜしなれ
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
何れもみな一兩目りやうめづつ調合てうがふなし極細末ごくさいまつにしてもらひたいと出すは身姿みなりも能き事ゆゑ定めし高金の品のみならんと思うて開き讀下よみくだせば然に非ずして極安ごくやすき物のみなればあきれながら委細ゐさい承知しようち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「要りますとも……犬に信用されるような身姿みなりを作らなくちゃ……」
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
身姿みなりの立派だけ厚くもてなさるゝ訳なればさても賢き男なるかな
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)