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そうせき
ふりがな文庫
“
踪跡
(
そうせき
)” の例文
然るに今は「死せる秘密」のために
懼
(
おそれ
)
を
懐
(
いだ
)
いて、もし客を謝したら、緑翹の
踪跡
(
そうせき
)
を尋ねるものが、観内に目を
著
(
つ
)
けはすまいかと思った。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
権七はかの事件以来、どこかに
踪跡
(
そうせき
)
を
晦
(
くら
)
ましていたのであるが、どうしてここへ来てこんな最期を遂げたのか、だれにも想像がつかなかった。
穴
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
かくて味方とも
散々
(
ちりぢり
)
にわかれて後、義経の
足跡
(
そくせき
)
は、四天王寺までは見た者もあるが、そこを
立退
(
たちの
)
いた先は、まったく
踪跡
(
そうせき
)
を
晦
(
くら
)
ましてしまった。
日本名婦伝:静御前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
茲
(
こゝ
)
に至りて難波の理想と江戸の理想と、其文学上に現はれたるところを以て断ずれば、各自特種の気禀を備へて、容易に
踪跡
(
そうせき
)
し得べき
痕
(
あと
)
を印せり。
徳川氏時代の平民的理想
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
マリユスは種々の人に頼んだが、だれもテナルディエの
行方
(
ゆくえ
)
をさがしあてることはできなかった。その
踪跡
(
そうせき
)
はまったくわからなくなってるらしかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
……しかし、犯人が、それからどこへドウ
踪跡
(
そうせき
)
を
晦
(
くら
)
ましたかという事は、まだ的確に解っていないらしいのです。
一足お先に
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そこで友人は自ら脅迫団を名乗って、巧みに筆蹟を隠して、彼の父に彼の身代金を請求して、
踪跡
(
そうせき
)
を
晦
(
くら
)
ました。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
この旅亭は日本人の定宿のようになっているので、ここに居据っていれば、新入の日本人から、助左衛門の
踪跡
(
そうせき
)
を聞きだす便宜があると思ったからである。
呂宋の壺
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
先祖代々いかなる領主にも屈せず、その
踪跡
(
そうせき
)
を知られることもなく、原始林と人跡の絶えた峡谷の奥を転々し、なにものにも束縛されない自由な年月をすごして来た。
おばな沢
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
三司郡県将校
(
さんしぐんけんしょうこう
)
等
(
ら
)
、皆
寇
(
あだ
)
を失うを以て
誅
(
ちゅう
)
せられぬ。賽児は
如何
(
いかが
)
しけん其後
踪跡
(
そうせき
)
杳
(
よう
)
として知るべからず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
角谷の
踪跡
(
そうせき
)
は
此処
(
ここ
)
ではたと絶えた。其れから一週間彼は
何処
(
どこ
)
を
如何
(
どう
)
迷うて歩いたか、一切分からぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
警察でもほうぼうを捜索してくれましたが、彼が往復の
踪跡
(
そうせき
)
を発見することが出来ませんでした。
世界怪談名作集:15 幽霊
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
少なくともその四個の生命が、この火事を機会として、
踪跡
(
そうせき
)
をくらましてしまいました。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
次いで、前に云ったムウニッヒを過ぎて、再び
英吉利
(
イギリス
)
に入り、ケムブリッジやオックスフォドの教授たちの質疑に答えた後、
丁抹
(
デンマアク
)
から
瑞典
(
スウエデン
)
へ行って、ついに
踪跡
(
そうせき
)
がわからなくなってしまった。
さまよえる猶太人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
南太平洋水域に
踪跡
(
そうせき
)
を
晦
(
くら
)
ませた海の狼を想い出していただく必要がある。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
お初
踪跡
(
そうせき
)
の捜索に出してやったものの、夜になっても、消息が知れぬので、何よりも、雪之丞に頼み甲斐のなかったのを、今更わびても始まらぬが、善後策を相談し、身辺の警戒を忠告するためと
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
搜索の爲めに出し遣られし二艘の舟は、一はこなたより漕ぎ往き、一はかなたより漕ぎ戻りて、末遂に一つところに落ち合ふやうに
掟
(
おき
)
てられしに、その舟皆歸り來て、舟も人もその
踪跡
(
そうせき
)
を見ずといふ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
踪跡
(
そうせき
)
らしいものにもあわない、一つの煙、一発の銃声もきかない
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
もし約束の冬まで来訪がない時は、臆病風にふかれて
踪跡
(
そうせき
)
をくらましたものと見なし、貴公の卑劣を天下に笑ってやることにするから、そのつもりでおられたい。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼の救い主であるその男については、何にもわからず、何らの
踪跡
(
そうせき
)
もなく、少しの手掛かりもなかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この……なる言語は伝わっておらぬが、彼女はそのまま邸を脱走し、
踪跡
(
そうせき
)
をくらましたのである。
長屋天一坊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
高崎では
踪跡
(
そうせき
)
が知れぬので、前橋へ出た。ここには
榎町
(
えのきまち
)
の
政淳寺
(
せいじゅんじ
)
に山本家の先祖の墓がある。九郎右衛門等はそれに参って成功を祈った。そこから藤岡に出て、五六日いた。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
それほど左様に神変自在な手段をもって、その事件の犯人たる怪魔人は、
踪跡
(
そうせき
)
を
晦
(
くら
)
ましているので御座います。……こう申しましたならば、もはやお解かりで御座いましょう。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
建文帝
是
(
かく
)
の如くにして山青く雲白き
処
(
ところ
)
に無事の余生を送り、
僊人
(
せんにん
)
隠士
(
いんし
)
の
踪跡
(
そうせき
)
沓渺
(
ようびょう
)
として知る可からざるが如くに身を終る可く見えしが、天意不測にして、魚は
深淵
(
しんえん
)
に
潜
(
ひそ
)
めども案に上るの日あり
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかもそれより旬日、この阿修羅のごとき海の通り魔は突如として、その
踪跡
(
そうせき
)
を
晦
(
くら
)
ませてしまったのであった。無気味なる活動をピタリと停止して
杳
(
よう
)
として、その消息を絶ってしまったのであった。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
玄々不識の
中
(
うち
)
にわれは「我」を失ふなり。而して我も
凡
(
すべ
)
ての物も一に帰し、広大なる一が凡てを占領す。無差別となり、虚無となり、
糢糊
(
もこ
)
として
踪跡
(
そうせき
)
すべからざる者となるなり。
澹乎
(
たんこ
)
たり、
廖廓
(
れうくわく
)
たり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
千浪は
竹枝
(
ちくし
)
と仮に名づけて、行く行く玄蕃の
踪跡
(
そうせき
)
を尋ねながら、中仙道を大廻りして江戸に入る
心算
(
つもり
)
で、木曾路から信州路へ入り、ようやく
碓氷峠
(
うすいとうげ
)
にまで
辿
(
たど
)
りついて来た。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
中には
博文館
(
はくぶんかん
)
の発行した書籍に、この名の著者があったという人が二、三あった。しかし広島に
踪跡
(
そうせき
)
がなかったので、わたくしはこの報道を疑って追跡を中絶していたのである。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼があれほどさがしていた二つの
踪跡
(
そうせき
)
のうちの一つ、最近更に多くの努力をしたがついにわからずもう永久に見いだせないと思っていた
踪跡
(
そうせき
)
は、向こうから彼の方へやってきたのである。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
曾て富士川游さんが
往弔
(
わうてう
)
したのに、寺が廃せられて、他の池田氏の諸墓と共に
踪跡
(
そうせき
)
を失した事、諸墓の中池田宗家に係る錦橋以下数人の墓石は、其末裔鑑三郎さんに由つて処分せられ
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
“踪跡”の意味
《名詞》
踪 跡(そうせき)
足跡。
あとを追うこと。
事が行われたあと。
(出典:Wiktionary)
踪
常用漢字
中学
部首:⾜
15画
跡
常用漢字
中学
部首:⾜
13画
“踪”で始まる語句
踪
踪迹
踪索
踪蹤