ちょう)” の例文
するとちょうの長者は、大いにまごついて、坐りかけた身を起し、禅椅にっている魯達のそばへきて、彼の耳へ口をよせてささやいた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ちょうどいいところでした。僕、話したいことがあるんで会いたかったんです」と玄は、本郷のちょうのところへ来てくれと言った。
おそるべき強敵——自然の強敵にも劣らない、おそるべきちょう一味の陰謀も、英夫や、祥子や宮崎運転士の活躍で未然に防ぐことが出来た。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
事の実際をいえば弱宋じゃくそうの大事すでに去り、百戦必敗ひっぱいもとより疑うべきにあらず、むしろはじしのんで一日もちょう氏のまつりそんしたるこそ利益なるに似たれども
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それから五、六日を過ぎないうちに、王確は酔ってじょうという所へ出かけた。帰りには日が暮れて、ちょうという村まで来かかると、路のまんなかで兄の王に出逢った。
孟公綽もうこうしゃくは、たといしんちょう家や家のような大家であっても、その家老になったらりっぱなものだろう。しかし、とうせつのような小国でも、その大夫にはなれない人物だ。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
北はちょうえんしんから、西は※岐ぶんきまで足を延ばした。商於しょうおて洛陽に至った。南は淮泗わいしから会稽かいけいに入り、時に魯中ろちゅうに家を持ったりした。斉や魯の間を往来した。梁宋には永く滞在した。
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一度彼はちょうと名乗っていたようであったが、それも二日目にはあいまいになった。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
ちょう邯鄲かんたんの都に住む紀昌きしょうという男が、天下第一の弓の名人になろうと志を立てた。おのれの師とたのむべき人物を物色するに、当今弓矢をとっては、名手・飛衛ひえいおよぶ者があろうとは思われぬ。
名人伝 (新字新仮名) / 中島敦(著)
開封府かいほうふに居らしめ、第六子てい王とし、武昌ぶしょうに居らしめ、第七子せい王とし、青州府せいしゅうふに居らしめ、第八子を封じてたん王とし、長沙ちょうさき、第九子ちょう王とせしが、は三歳にしてしょう
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
昔、廉頗れんぱは年八十に及んで、なお米一斗、肉十きんを食い、天下の諸侯、これをおそれ、あえてちょうの国境を犯さなかったといいます。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうのやつかね、はっはっは、あいつはきっと仕返しをしてやるといってるよ、日本の艦隊の行動を探って来たことで、まあ、帳消しにしてやるんだね」
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
毛の長い方は、かねて瀬川からきいていた鮮人の社会主義者でげんというのであるが、普通には日本名前の松本で通っていた。今一人の背の高い方は玄の友達でちょうさんというのであった。
それからせいちょうに遊んだ。
岷山の隠士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ちょうの長者も、かねがね娘の話を聞いて、いたくあなたさまの義侠に感じておいでだったのに、なにか勘違いでもなすったに違いございません。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジャンクの船頭は、香港で、ちょうという仲間の者に祥子を紹介してくれた。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
集まった銀細工師の姚次ようじ、葬具屋のちょう四郎、酒屋の胡正こせい、菓子屋のちょうじいさんなど、どれもこれもただ、眼をまじまじ、硬くなっているだけだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へえ? ……なぜです。どうして支那の帝王を決めるのに、昔からしんちょうえんなどの国境さかいを侵して、われわれ漢民族をおびやかしてきた異国の匈奴などと相談する必要があるのですか」
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)